2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青山 拓也 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高圧 / マルチフェロイクス / マンガン酸化物 / 固体酸素 |
Research Abstract |
横滑り型らせん磁気構造をはじめとする空間反転対称性を破る磁気構造がスピン軌道相互作用や交換相互作用を通じて格子の対称性を下げ、電気分極を生じるということが近年の研究により明らかとなった。そのような磁気構造はフラストレート磁性体と呼ばれる物質群で多く観測されている。フラストレート磁性体は様々な磁気構造がエネルギー的に近い準位に存在することから、外部圧力を通じて原子間距離を制御することは磁場印加と同様に有効な摂動となりうる。そのような観点から、本研究はダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧力下において新しい電気磁気特性の探索を目的とした。本年度の主要な成果を以下に示す。 (1)マルチフェロイクス特性を示す希土類マンガン酸化物において圧力誘起磁気転移に伴う強誘電分極プロップを観測した。また高圧相においてこれまでの磁気誘起強誘電分極の大きさを1桁更新する大きな電気分極を観測した。(2)10GPaまでの高圧下において様々な構造相転移を示す分子磁性体である固体酸素において空間反転対称性の破れを示唆する第二高調波の発生を観測した。この結果は単一二原子分子における初めての空間反転対称性の破れの観測である。今後は空間反転対称性の破れの起源を基礎物性等のマクロ測定および回折実験から明らかにすることを目指す。 これらの成果は日本物理学会(2013年春季大会、第69回年次大会)および第54回高圧討論会において発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体酸素研究においては空間反転対称性の有無の評価を広い温度圧力範囲で行ない、空間反転対称性の破れた相を観測することに成功した。今後は基礎部制測定や回折実験からその起源に迫る。またマルチフェロイクスに対する圧力効果においても上述(1)のような圧力誘起の有意な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
固体酸素研究に関して、今後は単結晶を用いた高圧下回折実験を行なうことが最も重要である。しかし国内では高圧ガス取り扱いに関する法規制のため、例えばヘリウムなどを用いた静水圧環境下での固体酸素結晶の作製などは困難である。解決方策として純良多結晶の作製や、高圧ガス使用の可能な海外での回折実験を視野に入れた研究を展開していく。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Pressure effect on magnetism and multiferroicity in Mn_2GeO_42014
Author(s)
T. Honda, T. Aoyama, J. S. White, Th. Strassle, L. Keller, M. Kenzelmann, F. Honda, A. Miyake, K. Shimizu, Y. Wakabayashi, T. Kimura
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 89
Pages: 104405
DOI
Peer Reviewed
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