2014 Fiscal Year Annual Research Report
三次元グラフェン担体の開発と酵素バイオ電池電極への応用
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13J01614
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤田 光一 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 静電紡糸不織布 / 化学気相成長法 / 酵素バイオ電池 / 無電解メッキ / 固定化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高い比表面積と空隙率を有する静電紡糸不織布にグラフェンを形成することで高い導電性を付与し,酵素バイオ電池電極として応用することにより酵素の担持量を増大させ酵素バイオ電池の出力向上を目指している.本年度は導電性を付与した静電紡糸不織布の評価と電極としての応用について検討した.化学気相成長法(CVD法)と無電解金属メッキ法の2つのアプローチで研究を行った. (1)多孔質カーボン静電紡糸不織布の作製 前年度にCVD法を用いて開発したカーボン不織布について分析と評価を行った.ラマン分光分析,導電性測定,窒素吸着による比表面積,細孔容積,細孔分布測定,電子顕微鏡観察,元素分析を行った.結果として,静電紡糸法とアルコールを炭素源としたCVD法を組み合わせることにより非常に高い多孔性(比表面積:318 m2/g,メソ細孔容積:1.33 cm3/g,全細孔容積:1.67 cm3/g)と導電性を有する微細なカーボン繊維集合体不織布(繊維径約500 nm)を開発することができた.これらの結果は,学術論文としてJ. Nanomater.誌に採録された. (2)無電解金属メッキ不織布の電極応用 酵素電極への応用に向けて,前年度に酵素固定化担体として評価した無電解金メッキ不織布を電極に用いた.ヘキサシアノ鉄酸カリウム水溶液にてサイクリックボルタンメトリーを用いて電極表面積を板状金電極と比較した結果,金メッキ不織布を用いた場合には,板状金電極に対して7.3倍の酸化ピーク電流値が得られた.この結果より静電紡糸不織布を電極として用いることで表面積を飛躍的に増大できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静電紡糸法と化学気相成長法を組み合わせることにより新規な構造を持つカーボン不織布を開発し,学術論文として纏めることができた.さらに当初計画していた方法とは異なるが,静電紡糸不織布を電気化学的に評価することで電極材料としての基礎的検討を行った.よって研究はおおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,静電紡糸不織布への電子伝達物質と酵素の固定化による電気化学的触媒反応への応用を行って酵素電極の開発へと展開する.具体的には,電極性能の向上のため,グルコース脱水素酵素によるグルコースを基質としたアノード電極,酸素の還元によるカソード電極の作製を検討する.酵素とそれらの電子伝達に適した表面修飾を検討することが方策として考えられる.
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Research Products
(1 results)