2013 Fiscal Year Annual Research Report
ひとり親家庭の抱える困難に関する研究-ひとり親家庭の子どもの視点から捉える-
Project/Area Number |
13J01623
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
志田 未来 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ひとり親家庭 / 子ども / 編成資源 / 相対的貧困 |
Research Abstract |
本研究は、離婚や未婚の親の増加に伴うひとり親家庭の増加傾向を受け、ひとり親家庭の子どもの状況の把握と、彼らに対する支援策としてどのようなものがありうるのかということを検討するものである。 本年度は以下の方法によって調査を行った。2011年から2012年にかけて行ったひとり親家庭の子どもに対するインタビューをまとめ、ウォルマンの構造的資源と編成資源という枠組みから分析を行った。また、2011年より行っている公立中学校でのフィールドワークを継続し、ひとり親家庭で育った子どもが、どのような学校経験を経ているのかを調査中である。来年度は、2011年から2012年にインタビューを行った子どもを対象に再びインタビューを行い、追跡調査を実施する予定である。 さらに、本年度は海外における調査も実施した。2013年11月には、家族研究の先駆的機関であるFragile Families and Child Wellbeing Study Research Centerを訪問し、アメリカにおける不安定な家族の研究の手法やアイディアを学んだ。また、12月にはカリフォルニア州June Jordan High Schoolにて2週間のフィールドワークを行った。June Jordan High Schoolには、ひとり親家庭を筆頭に、不安定な家族で暮らす子どもたちが多く通っており、エスニック的にもブラック、ラティノなどのマイノリティが多く在籍している。このような不安定な家庭が多い校区にあるJune Jordan High Schoolは、社会的困難を「克服」している学校であることで注目されている。そのため、フィールドワークによって、不安定な家族で暮らしている子どもたちに対して、学校はどのような支援が可能なのか、ということを調査した。 今年度の調査を通じて、国内外のひとり親家庭の生活にミクロに迫り、彼らの直面する「相対的貧困」という状況、また編成資源を巧みに活かして生活していることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ひとり親家庭の子どもに対する綿密な質的調査を行い、その成果を2013年10月に行われた教育社会学会において発表した。アメリカの学校におけるフィールドワークも行っており、国際比較という観点からも成果を挙げつつある。以上より研究手法の習得及び国内外における調査データの獲得を順調に発展させることができていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本の中学校におけるフィールドワークとともに、アメリカの学校におけるフィールドワークも継続して行う予定である。長期間のフィールドワークによって、調査地での良好なラポールを形成するとともに、経年データを収集し、経年比較を行う。
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Research Products
(2 results)