2014 Fiscal Year Annual Research Report
ひとり親家庭の抱える困難に関する研究-ひとり親家庭の子どもの視点から捉える-
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13J01623
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
志田 未来 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ひとり親家庭 / 日米比較 / 子どもの視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
ひとり親家庭で育った経験を持つ中学生から高校生に対してインタビューと参与観察を実施し、子どもの視点からひとり親家庭として生活することの内実に迫ることを試みた。本年度はアメリカにおけるフィールドワークも並行して行い、ひとり親家庭で育つことについて、社会的コンテクストと関連させながら把握することに勤めた。 具体的には、大阪北部に在住の中学生と高校生に対してインタビューを行い、家庭経験と学校経験にかかる事柄を半構造化インタビューの手法を用いて明らかにした。 一方、アメリカにおける調査ではカリフォルニア州の公立高校にて1ヶ月間の綿密なフィールドワークを行った。フィールドワークを通じて、ひとり親家庭を中心とした不安定な家庭で暮らしている子どもたちの家庭経験が学校経験にどのように影響を与えているのか、またかれらに対する学校の具体的支援策について検討した。 以上のフィールドワーク調査から得られたデータを用いて、ひとり親家庭として生活することから発生することの困難は、経済状況のみに由来するのではないことを明らかにした。例えば、日々の相互行為の中で発生するスティグマや、引っ越しや転校などが、かれらの直面している具体的な困難として語られた。また、日米比較から、ひとり親家庭の割合が少ないという日本の社会的コンテクストが国内のひとり親家庭に対するスティグマを強め、文化的側面に由来する困難を生み出していることが明らかになった。 以上の研究結果より、ひとり親家庭に対する支援策として、経済的援助に加えて、社会的地位に対する支援も重要となることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ひとり親家庭に育った経験を持つ中学生・高校生へのインタビューを実施し、さらに、ひとり親家庭の生徒が多く在籍している中学校における参与観察も継続して行っており、順調にデータを得ることができている。また、アメリカにおける現地調査も今年度は1ヶ月というインテンシブなフィールドワークを行うことができたため、アメリカのデータも十分に収集することができた。また、研究成果を国内外の学会発表で発信することができている。以上のことより、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、継続して国内外における調査を行い、綿密に分析することを目指す。最終年度を迎えるため、3年間収集してきたデータを緻密に記述・分析し、3年間のまとめを行う。その研究成果については、教育社会学研究に投稿するとともに、海外ジャーナルにも投稿することを計画している。
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Research Products
(4 results)