Research Abstract |
企業の生産プロセスでは, 粉体の微細化に伴う付着凝集性に起因するハンドリング上の問題が今後, 急増することは必至であり, 粉体操作の基盤技術の確立が重要である。平成25年度は, 二次元振動基板上の粒子挙動について, 従来ほとんど解明されていない付着凝集性の強い微粒子を対象に研究を行った。振動基板上の粒子の挙動は, 1. 分離, 2. 跳躍, 3. 衝突の3つに分けられる。それぞれの研究成果を以下に示す。本研究で得られた成果は, 振動場を利用した装置の設計や操作条件の設定に役立つ重要な知見となることが期待される。 1. 分離 顕微高速度カメラを用いて, 粒子の分離挙動の微視的解析を行った結果, 粒子は静止状態から転がり運動を経て分離に至ることを見出した。また, 転がり運動によって, 基板と粒子間の付着力が減少したことがわかった。さらに, 力学モデルを用いて解析した結果, 転がり運動は垂直加速度よりも水平加速度に依存しやすいことがわかった。 2. 跳躍 粒子径0.5-500μmの粒子の跳躍挙動を解析した結果, 粗粒子は分散状態で高く跳躍するが, 微粒子は凝集体を形成し, 僅かに跳躍しながら輸送されることがわかった。また, 粗粒子は前方と後方への跳躍を繰り返しながら輸送されるのに対し, 微粒子で構成された凝集体は常に前方へ跳躍するので, 粗粒子よりも輸送速度が大きくなった。力学モデルによる数値シミュレーションを行った結果, 粒子の運動軌跡は実験結果と良好に一致した。 3. 衝突 粒子径20-500μmの粒子の衝突挙動を解析した結果, 粒子径が小さくなると, 流体抵抗の影響が大きくなり, 反発速度が非常に小さくなることがわかった。壁近傍での流体抵抗の増加の影響(壁効果)を考慮した数値シミュレーションは実験結果と良好に一致した。さらに, 衝突速度や粒子密度を変化させた実験から, 反発係数はストークス数の減少にともなって小さくなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
粒子挙動の微視的解析を行った結果, 基板の二次元振動が粒子の回転運動を誘発し, これに伴って基板と粒子間の付着力が著しく減少することを初めて見出した。また, 衝突および跳躍挙動の解析では, 粒子径による運動軌跡および粒子速度の依存性を定量的に評価することに成功した。さらに, 力学モデルによる数値計算や確率モデルによる解析を行い, 一連の粒子の運動機構を理論的に解明した。
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