2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01717
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高棹 真介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 太陽フレア / 磁気リコネクション |
Outline of Annual Research Achievements |
1、太陽フレアを活発に起こす黒点形成メカニズムの解明に向けた3次元磁気流体シミュレーション ねじれが強い1本の磁束管が太陽フレアを活発に起こすような複雑な構造の黒点領域を作ることができるのかについて3次元磁気流体シミュレーションを用いて考察した。シミュレーションの結果、キンク不安定性を起こすような強いねじれをもつ磁束管が浮上して黒点領域を作る場合、自然に複雑な黒点領域が形成されることを示すことに成功し、そのメカニズムも解明できた。 2、太陽フレアの衝撃波、コロナ波動の発見とその形成過程の解明 太陽フレアは激しい爆発現象であり、生じた超音速流によって様々な衝撃波が形成しうる。衝撃波は高エネルギー粒子の加速や圧縮による高輝度領域の形成などに関わる可能性があるため、衝撃波形成を理解することは観測を解釈するうえで極めて重要である。我々は太陽フレア領域の衝撃波の形成を理解するため、高解像度の太陽フレアシミュレーションを行った。その結果、無数の新しい衝撃波を発見した。さらに、場所によってはフレア領域の10から100分の1という非常に小さい領域の中ですら無数の衝撃波が形成されるということが明らかになった。またフレア領域から観測とよく似たコロナ波動が発生していることが発見された。そしてその発生メカニズムも解明した。 3、3次元太陽フレアの物理を考慮した簡易フレアモデルの構築 3次元の非線形発展を直接3次元シミュレーションによって調べるには計算量と調べるべきパラメータが多いため困難である。そこで我々は磁気リコネクションの物理を可能な限り取り入れた簡易フレアモデルを構築し、幅広いパラメータを容易に調べられる方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで行ってきた黒点形成のシミュレーションの解析が進み、シミュレーションの中で生じた複雑な黒点を形成するメカニズムが理解できた。この点は当初の目標を達成しており順調に進展していると言える。 黒点形成過程の理解がある程度進んだため、太陽フレアの理論的考察に移った。まず太陽フレアの基本的構造の理解のために過去の太陽フレアのシミュレーションに基づいたシミュレーションを行った。そのとき過去より高解像度の計算を行ったところ、予想していなかった無数の衝撃波を発見した。さらにフレア領域からコロナ波動が放射されており、近年の太陽観測とよく合うことを見つけた。衝撃波は磁気リコネクションで解放されたエネルギーの熱化過程で重要な役割を果たしているため、私の研究で明らかにしようとしているフレアのエネルギー解放機構の解明に直結する発見であった。これは研究計画で当初予定されていない事であったが、重要な発見であるため査読論文として結果をまとめ、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず複雑な黒点形成のシミュレーションに関して私が発見したことを査読論文としてまとめる。当初の計画では活動領域内の磁気エネルギー蓄積過程について考察する予定であったが、私が最近発見したフレアの衝撃波やコロナ波動をより突き詰めて調べて行こうと考えている。なぜなら近年の観測で多くのコロナ波動や衝撃波のような構造が観測から見つかってきており、いまだそれを説明する理論は確立していないため、私がそれに対して大きく貢献できると思うからである。そこで私はフレア領域の衝撃波構造とコロナ波動の普遍的理解を目指す。研究を進める方針としては、最近私は太陽フレアのデータから私の発見した衝撃波に対応するであろう構造を見つけたので、それとシミュレーションの比較を行い論文化する。次に2次元シミュレーションで幅広いパラメータでフレアの計算を行い衝撃波構造、コロナ波動の性質の変化を調べ、論文化する(これは現在一部の計算を進めている)。もしこれが終わった場合、フレアモデルを3次元化してより現実的なフレア構造を考えて3次元空間での衝撃波構造を明らかにする。
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Research Products
(15 results)