2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01768
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原口 知之 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 多孔性配位高分子 / スピン転移 / ヘテロ接合膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔性配位高分子:Fe(L)[M(CN)4] (L;配位子, M = Ni, Pd, Pt ) は温度に応答して低スピン(LS)状態、高スピン(HS)状態(反磁性:S = 0 と常磁性:S = 2)間のスピン転移を示すスピンクロスオーバー錯体である。近年、このスピン転移は光、分子の吸着、圧力などでも誘起されることが明らかとなり、こうした特性はメモリー材料やセンサーとしての応用が期待されている。本研究では、一層ごとの積層に優れたLayer-by-Layer法を用いることで、配位子を一層おきに変化させた人工超格子:Fe(L, L’)[M(CN)4]ナノ薄膜 (PCP-ASL) を作製し、その温度変化やゲスト分子の吸脱着に対するスピン状態の応答性を評価する。様々なPCP-ASLについて外場応答性の知見を得ることで、機能性PCP-ASLの設計指針を創出することを目指している。本年度はpyrazine, 4,4’-bipyridine, 4,4’-azopyridine, pryridineなどの様々な配位子を組み合わせてPCP-ASLの作製を試みているが、現在のところ超格子構造は得られておらず作製条件についてさらに検討中である。一方で、Fe(pz)[Ni(CN)4] (pz = pyrazine) 層の上にFe(pz)[Pt(CN)4]を積層しヘテロ接合膜を作製した。X線回折測定の結果から膜は高い結晶配向性を有しているだけでなく、Fe(pz)[Pt(CN)4]層が縮小していることが示唆された。この膜について温度可変ラマン測定を行い、スピン状態の変化に鋭敏な振動モードについてモニターすることでスピン状態の温度依存性について検討したところ、スピン転移温度の変化が明らかとなった。さらに、4,4’-bipyridineを用いることで新規のナノ薄膜: Fe(pz)[M(CN)4] (M = Ni, Pd, Pt)を作製し高い結晶配向性を有していることをX線回折測定から明らかにし、in-situ XRD測定からガス吸着挙動の観測にも成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、様々な配位子を用いてナノ薄膜の作製を行い、これらの配位子を組み合わせて人工超格子の作製を試みたが、現在のところ超格子構造は得られておらず作製条件についてさらに検討中である。一方で、Fe(pz)[Ni(CN)4] (pz = pyrazine) 層の上にFe(pz)[Pt(CN)4]を積層しヘテロ接合膜を作製し、スピン転移温度の変化を観測することに成功している。これらの成果については広く外部発表(日本化学会年会、ICSM2014、錯体化学討論会、MOF2014)を行なっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は他の配位子を含め、人工超格子の作製、スピン状態の評価を目標とする。また、ヘテロ接合膜についての実験結果を論文に執筆することを目標とする。
|
Research Products
(4 results)