2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 成生 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 原始星増光現象 / 重力不安定 / 磁気回転不安定 / 質量降着 / 固体微粒子 / 揚力 |
Research Abstract |
惑星は生まれたばかりの恒星である原始星の周囲を取り囲む原始惑星系円盤の中で形成されると考えられている。その中で起こる固体微粒子の集積過程、円盤の力学的進化などは惑星形成過程を理解する上で非常に重要である。本研究では、惑星の形成過程を理解するため、2つの研究を行った。 1、原始星への質量降着現象の理解へ向けての研究 生まれたての恒星である原始星は、原始星へ物質が降り積もることで重力エネルギーを解放して光っている。ある特定の原始星では、短時間のうちに明るさが急激に増えることが知られている。この増光現象について、円盤の外側の方で重力不安定により分裂したガスの塊が中心星に落ちることで増光するという説と、円盤内部での磁気流体力学的な磁気回転不安定が原因であるという説の2つの説がある。しかし、この2の説は相反するものではないため、我々はこのガス塊が落ちてくるなかで磁気流体不安定が起こったときに増光現象がどのようになるかを調べた。その結果、ガスの塊が落ちてくることによって、磁気流体不安定が誘起されるという示唆を得ることができ、2つの現象が互いに関連し合って増光現象と結びついている可能性を提案した。 2、円盤内の固体微粒子の運動についての研究 原始惑星系円盤の中で運動する固体微粒子は衝突を繰り返して固体惑星へと成長すると考えられている。この固体微粒子が衝突する際に、微粒子が自転角運動量を持つ可能性がある。その場合には、微粒子に揚力が働くため、運動が変化すると考えられる。その運動について見積もりを行った結果、揚力が無視できない場合が存在する可能性があるという示唆を得た。 1、の研究は質量降着現象として、ブラックホールへの質量降着現象と類似の現象である。そのため、ブラックホールへの質量降着現象の研究も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室の学生同士で盛んに議論を行い、原始惑星系円盤の進化を計算できるコードを作ることができた。また、海外の著名な研究者と議論をする機会に恵まれ、円盤の進化を考える際に必要な物理過程について議論できたことも非常に有益であった。上記のように、円盤進化に関して計算できるようになったので、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のモデルをより詳細な物理過程を取り入れ、観測との比較を行うことで、原子惑星系円盤の力学的進化を理解したい。最終的には親となる分子雲の情報からどのような円盤が形成され、どのようにしてどのような惑星が形成されるのかを調べることができるようになると良い。そのためには、分子雲の重力収縮による円盤形成をモデルに取り入れ、さまざまな分子雲から計算を始める必要がある。 また、このような降着現象の力学進化・定式化の問題はブラックホールへの質量降着現象と類似した現象である。今後はそちらの分野へも足を踏み入れ、ブラックホール降着流への応用などを視野に入れて研究を進めて行きたいと思っている。
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Research Products
(8 results)