2013 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的手法を用いた三次元組織構築のための血管網構造の高速バイオアセンブリ
Project/Area Number |
13J01825
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大崎 達哉 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 再生医療 / 血管新生 / バイオマテリアル / 人工臓器 / 肝臓作製 |
Research Abstract |
初年度の課題は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞を用いて多層構造の血管様構造を作製することにあった。これは間葉系幹細胞から分化させた周皮細胞ないし平滑筋細胞を用いることによって解決した。その結果、これまでの3週間程度という培養期間から、1ヶ月程度血管様構造を維持できることができるようになった。更に、ゲルにもこの間葉系幹細胞を加え血管内皮細胞ともに共培養をすることで、血管構造の長期間維持だけではなく、血管新生の誘導も同時に誘導することができた。間葉系幹細胞と血管内皮細胞を共培養するストラテジーは、以前から存在したが、このような送液培養系でも同じような効果が期待できることを証明した。 今年度の終わりは、血管構造の作製から、血管構造を持った肝臓組織の作製に移行するために、iPS細胞から誘導した肝臓の細胞を用いこれまでの送液培養に加える事によってその活性を評価した。具体的にはiPS細胞から誘導したiPS-Hepatic endoderm (iPS-HE)という内胚葉細胞をスフェロイド状にして内皮細胞、間葉系幹細胞とともにゲルに組み込み送液培養を行った。このようにして作製した肝臓類似組織を送液培養したところ、培養から一週間後には、ゲルに懸濁した内皮細胞は管腔構造を形成し血管内皮細胞同士で血管ネットワークを形成していた。この時の、アルブミン濃度とアンモニア濃度の変化をELISAで測定した。その結果、培養によっても分化が進み成熟した肝臓細胞へと近づいていた。この成果は、国内の学会2件(生物工学会、人工臓器学会)国際学会2件で発表した。特に後述の再生医療に関する学会である「Termis-america」で研究成果を口頭発表し、これらの結果の一部を学術論文「Biofabrication」に報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
iPS由来肝細胞を用いて血管を持つセンチメーター単位の組織体を作製することに成功した。 この結果は本手法によって血管構造を持つ三次元的組織を作製することを可能と示すものであり、再生医療技術への応用が期待されるものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製した組織体は、肝臓の機能を持ち血管様構造を同時に持つものであるが、アルブミン分泌が低いことや、未分化マーカーが発現していることから、未分化細胞がまだ残っており分化が不十分であるという結果とも考えられる。現在は、これらの分化条件やスフェロイドの懸濁条件を最適化し、より密な肝臓類似組織を作製している。解決策の一つとしては、培養液やゼラチンのゲルの中に分化誘導因子を加える事で更に、成熟した組織にすることができると考えている
|
Research Products
(5 results)