2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01891
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 章詞 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超対称ゲージ理論 / 結び目 |
Research Abstract |
今年度発表した論文では、AdS_4/CFT_3対応と呼ばれる双対性に着目し、4次元の超重力理論の運動方程式の解の無限遠境界を考察することで3次元球面を「潰した」場合と「潰さない」場合で本質的な違いが生まれないことを示した。潰さない「きれいな」球面にパラメーターを導入するために、背景に電磁場(U(1)ゲージ場)を走らせ、超対称性を変更した。この背景場はもともと「潰した」球面の上に超対称性を保持するために導入されたものだったが、私が示したのはむしろ結果は球面を潰す、潰さないという幾何に依存せず、その背景場を入れたか入れなかったかに依存する、ということである。これは、トポロジーが3次元球面上の超対称性理論の本質を反映するのに、必ずしも「潰す」という操作が必要なわけではなく、むしろその他の構造が重要であることを示している。同時期に発表された論文(以下参照)でも解説されたように、近年それが3次元球面の「接触構造」と呼ばれる数学的構造であることが理解されてきた。私のもちいた手法は、AdS/CFT対応と呼ばれる非自明な双対性をヒントにしている。これはおもに古典重力と量子ゲージ理論の間の関係性に関する予想であるが、私は対応する重力解から、「きれいな」球面に非自明な結果をもたらすためには背景場が必要であることを見出した。これは先述の「接触構造」の物理的解釈が背景場であるという風に考える根拠を与える。 また、同じ3次元だがトポロジーの異なるS2×S1上での計算に基づく、AdS/CFTとは異なるある種の「双対性」をチェックする論文を執筆中である。これは申請書の研究計画に書いた、空間を「潰す」手法に基いている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元球面上で新たな超対称結び目を作るには至っていないが、その存在の意味はおおむねわかってきていることがまず挙げられる。また、新たに2次元球面×円の空間を「潰す」結果は、未発表だが実現した。結果は近々発表予定だが、新しい超対称結び目を得るには至っていない。しかしながら、当初の方針である空間を潰す手法が必ずしも重要ではないことがわかったこと、及び2次元球面×円の空間を超対称に潰すことが出来ることがわかったのは進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、超対称な結び目の存在の意味がわかってきた。その意味から考えると、今のままの方法でトーラス結び目以外の結び目を超対称性を保ちつつ作ることは難しい。しかし、結び目を3次元球面上に直接構成する必要はない。3次元球面を途中で切った空間(例えば、ソリッドトーラスや3次元球面)でも、超対称性が入れられる可能性がある。この場合に、超対称な結び目の「切れ端」を考えることが出来れば、結び目の多項式を再構成できる可能性があるため、「境界付き」3次元多様体上の超対称ゲージ理論の局所化を考えることが対応策として考えられる。
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Research Products
(4 results)