2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01934
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
金 志善 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本近代音楽史 / 韓国近代音楽史 / 外地邦楽 / 邦楽家 / 京城日報 / 植民地朝鮮 / 音楽記事 / 音楽広告 |
Research Abstract |
本研究の目的は、植民地朝鮮における邦楽の実態を調べ、邦楽が朝鮮社会にどのような役割を果たしていたのかを考察するものである。 朝鮮における邦楽については、一部の事例が取り上げられるくらいで、その実態については全く把握されていない状況である。外地での邦楽ということで、日本で行われた邦楽との差は存在した可能性があったと考えられる。これらを究明するためには、在朝鮮日本人音楽社会と植民地朝鮮の音楽社会を把握し、朝鮮における邦楽の実態を明らかにする必要がある。本研究に関する先行研究は調べた限り行われておらず、邦楽に関するまとまった一次資料も管見の限り見当たらないため、まず、どのような邦楽家がどのような活動を行ったのかについて調べる必要がある。 このように、朝鮮における邦楽の実態について研究するためには、まず、朝鮮における邦楽の全体像を把握する必要があった。邦楽の全体像をつかむために1907年から1945年まで韓国統監府の機関紙として発刊した『京城日報』(日本語版)の音楽記事・広告に注目し、平成24年7月から音楽記事・広告の抽出作業を行っている。『京城日報』には、「演芸案内」のような演芸関係の情報が毎日掲載され、多くの音楽関連記事や音楽関連広告が掲載されている。そのため、『京城日報』における邦楽関連記事情報が把握できれば、朝鮮における邦楽の実態と朝鮮社会における役割の考察ができると思われている。 平成25年度の研究実施計画であった『京城日報』における音楽関連記事・広告の抽出作業は、平成26年5月現在、9割以上の作業が進んでおり、同年5月末までには抽出作業の完了を予定している。これらのデータベースは、韓国にある「民俗苑」という出版社で資料集として出版することが決まっている、これらの作業データを下に平成26年度は記事・広告の分析に取り込む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施目標であった『京城日報』の音楽関連記事・広告の抽出作業は、予定とおりに進んでおり、そのデータベースの成果を出版することも決まっている。これは、本研究を行うために最も重要な研究土台であり、その土台の作巣が順調に進んでいたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
『京城日報』における音楽関連紀事(邦楽、西洋楽、朝鮮楽、大衆音楽)と音楽関連広告の抽出作業は、平成26年5月末まで完了予定である。同年6月からは、抽出作業で集まった膨大なデータを下に、分析作業を行う。『京城日報』を通じてみた植民地朝鮮における邦楽の実態研究のために行った抽出・分析を考察する上、植民地朝鮮における音楽史や音楽社会史はどのように形成され行なわれていたのか、当時の音楽史関連研究論文や研究書を参考に、当時朝鮮で発刊された『三千里』『新女性』『満州及朝鮮』などの月刊雑誌から把握、分析し、植民地朝鮮で行われていた「邦楽」が幹国音楽史形成においてどのような役割を果たしたのか、その「邦楽」の意義を位置づけるように努める。
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Research Products
(5 results)