2013 Fiscal Year Annual Research Report
構造と機能性ユニットとの協奏効果を利用した機能性層状ケイ酸塩の合成
Project/Area Number |
13J01966
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津野地 直 広島大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 層状ケイ酸塩 / ナノポーラスシリカ / イオン交換 / ゼオライト / チタノシリケート / グラフティング / 光触媒 / シクロヘキサン |
Research Abstract |
当研究室で合成に成功した新規層状ケイ酸塩群(Hiroshima University Silicate) HUSは、既存のケイ酸塩にはない特異な層表面構造を有している。本研究では、この表面構造を利用し層表面の構造し、層状ケイ酸塩の構造と導入する物質、両者を生かした機能性層状物質の合成を目的とする。本年度は引き続き新規層状ケイ酸塩の合成を試み、その吸着材および多孔体前駆体としての優れた特性を明らかにした。 層状ケイ酸塩HUS-1の合成初期段階で異なる層状ケイ酸塩HUS-5が得られることを明らかにした。嵩高い四級アンモニウムでイオン交換したHUS-5は酸洗浄および焼成を経由することでナノポーラスシリカHUS-6へと転換した。同系統の材料の中では、HUS-6のような細孔分布(1-2㎚の細孔径)を持った材料に関する研究はほとんど行われておらず、HUS-6の吸着材や触媒としての応用が期待される。新規層状ケイ酸塩の合成を検討した結果、ベンジルトリメチルアンモニウムカチオンを用いることで新規層状ケイ酸塩HUS-7の合成に成功した。HUS-7層間の水分子は数ある有機物種の中でフェノールと特異的に交換可能であり、ベンゼンおよびフェノールを含むアセトニトリル溶液からフェノールのみを吸着した。HUS-7の特徴的な層間の分子の配列がこのような吸着特性の原因になっていると予想した。層状ケイ酸塩HUS-2表面へ共有結合を介してチタンアセチルアセトナート(Ti(acac)4)の固定化に成功した。得られたHUS-2/Ti(acac)_4誘導体は既存の材料と比較し特出して高い孤立四配位Ti種の含有量を示し、疑似太陽光を用いたシクロヘキサンの酸化反応において非常に優れた触媒特性を示した。本研究は層状ケイ酸塩表面にシリカ以外の金属を固定化(グラフティング)した初めての報告例であり、層状ケイ酸塩を用いた材料設計のより一層の多様化が期待される。この他にもHUS-1の海水からのNi2+イオンの吸着およびテトラエチルボスホニウムカチオンを用いたゼオライト合成という課題にも研究協力者とともに取り組み国際学術誌に発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度新たに2種の層状ケイ酸塩およびその類縁体1種の(HUS-5, HUS-6およびHUS-7)の合成およびその構造決定に成功した。これら新規の層状ケイ酸塩の構造に着目した材料設計が期待される。さらに層状ケイ酸塩への機能性ユニット導入という観点からも、触媒活性点となる遷移金属(Ti)を層状ケイ酸塩の層表面に供給結合で固定化することに初めて成功し、この手法によって今まで成せなかった材料設計の可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる構造の有機物を合成系に添加することで更なる新規層状ケイ酸塩の合成を試みる。また、既存の層状ケイ酸塩ヘケイ素以外の金属の直接導入および形態制御なども試みる。層状ケイ酸塩への金属の導入手法を検討しより規則的かつ触媒性能の優れた材料の設計を目指す。具体的には、金属導入により層間での規則的細孔構築および金属が導入されたメタロシリケートナノシートの合成を試みる。層状ケイ酸塩の層間を有機親和性を持つ柱で支え既存のミクロ多孔体にはない有機親和性の細孔を有する多孔体の構築を試みる。
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Research Products
(26 results)