2013 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来カロテノイドによる脂質ラフト機能制御メカニズムの解明
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13J01982
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
真鍋 祐樹 京都大学, 農学研究科, 助教
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Keywords | 海洋生物由来カロテノイド / 脂質ラフト / スフィンゴミエリン / マスト細胞 |
Research Abstract |
本研究では、マスト細胞の脱穎粒反応に注目し、海洋生物由来カロテノイドによる脂質ラフト機能制御メカニズムを解明することを目的としていた。当初の計画通り、脂質ラフトの主な構成脂質であるスフィンゴ脂質の網羅的解析を行ったところ、シフォナキサンチンで処理した細胞内で、スフィンゴミエリンが蓄積していることを見出した。スフィンゴミエリンと同じく細胞内の主要なスフィンゴ脂質であるセラミドやセラミドモノヘキソシド量に変化が認められなかったことから、シフォナキサンチンはスフィンゴミエリンを特異的に増加させると考えられた。また、ボスファチジルコリンなどのグリセロリン脂質やコレステロール量にも変化が認められなかったことから、シフォナキサンチンは、生体膜脂質全体の量を変動させたのではなく、スフィンゴミエリンの代謝に影響を与え、膜脂質組成を変動させたと考えられた。細胞レベルでスフィンゴミエリン量を変動させる物質は、ほとんど見つかっておらず、おそらく食品成分ではシフォナキサンチンが最初の例である。生体内におけるスフィンゴミエリンの生合成メカニズムの解明にもつながると考えられ、学術的な意義も極めて高い。また、スフィンゴミエリン合成酵素の阻害剤の存在下では、シフォナキサンチンの脱顆粒抑制作用が減弱され、スフィンゴミエリンの添加によってもマスト細胞の脱顆粒反応が抑制されたことから、マスト細胞内でのスフィンゴミエリンの蓄積が脱顆粒反応を抑制すると考えられた。以上の結果から、シフォナキサンチンは脂質ラフトの構成脂質であるスフィンゴミエリンを蓄積させ、脱顆粒反応を抑制すると考えられる。この結果より海洋生物由来カロテノイドは、生体膜脂質組成を変動させることによって、脂質ラフトの機能を制御すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脂質ラフトの構成脂質であるスフィンゴミエリンが、カロテノイド処理によって細胞内で増加することを明らかにした。また、スフィンゴミエリン量の増加が、マスト細胞の脱顆粒反応を抑制することを初めて見出し、海洋生物由来カロテノイドは、スフィンゴミエリンの蓄積を介して脂質ラフトの機能を制御するものと考えられた。当初の目的は、ほぼ達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
シフォナキサンチンによって活性化されるスフィンゴミエリン合成酵素のサブタイプの特定やスフィンゴミエリンの局在に関する検討を行う。また、脂質ラフトに限定するのではなく、生体膜全体の膜脂質組成を網羅的に解析する必要があると考えている。
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Research Products
(4 results)