2013 Fiscal Year Annual Research Report
高校生のメンタルヘルスリテラシー向上にむけた介入方法の検討―実態調査を踏まえて―
Project/Area Number |
13J02004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 修哉 東北大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メンタルヘルスリテラシー / 高校生 / 心理教育 / うつ / 援助要請 |
Research Abstract |
25年度は、中学生、高校生を対象として、被援助志向性とそれに関連する要因としてメンタルヘルスリテラシーやその他の変数を取りあげ、実態調査(横断研究)、および介入研究(縦断研究)を実施した。その結果、生徒の被援助志向性は極端に低いわけではなかったが、援助を求めることに対する抵抗感は強く存在することが明らかとなった。また、カウンセラーや医師などの専門家への被援助志向性よりも、親や友人等の身近な存在への被援助志向性のほうが高かった。このことから、専門家への被援助志向性を高めるだけでなく、身近にいる非専門家へのそれを高める必要性も示唆された。さらに、被援助志向性と関連があると仮定した生徒のメンタルヘルスリテラシーは、全般に低いことが明らかとなった。多変量解析の結果、疾病を疾病として、正しく認識できるかどうかが被援助志向性と特に関連があることがわかったため、メンタルヘルスリテラシーの中でも、特にどの要素にアプローチしていけばよいのかが明らかとなった。これらの結果を基に、メンタルヘルスリテラシーおよび被援助志向性を高めるための心理教育的介入を実施した。介入の直前、直後、3か月後にそれぞれ質問紙調査を実施し、介入の効果を検討した。その結果、メンタルヘルスリテラシーの中でも知識に関するものについては、介入直後は効果がみられたが、3か月後までは維持されないものが多かった。他方、イメージや考え方に関するものは、3か月後まで効果が維持されているものもあった。被援助志向性は、社会資源により、3か月後まで維持されているものと、そうでないものに違いがあった。以上より、高校生の被援助志向性とそれに関連する要因のいくつかの実態を明らかにすることができた。また、介入についても一定の効果が確認され、有用性が認められた。今後は、さらに介入内容をブラッシュアップし、実践および効果検証を重ねる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、25年度は実態調査(横断研究)のみを予定していたが、本年度中に、実態調査および介入の実施まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定より早く、心理教育的介入の実施を行うことができた。そこで、次年度は本年度の結果を踏まえ、さらに効果的な介入方法の方略を探り、内容のブラッシュアップを図ったうえで、効果検証を行う予定である。
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Research Products
(5 results)