2014 Fiscal Year Annual Research Report
先天性筋ジストロフィーに関与する機能性糖鎖の構造とその生物学的役割に関する研究
Project/Area Number |
13J02038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 直樹 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 先天性筋ジストロフィー / 糖鎖修飾 / α-ジストログリカン / HNK-1ST / AGO61 / II型滑脳症 / LewisX抗原 / O-マンノース型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先天性筋ジストロフィー発症機構の理解に必須であるα-DG糖鎖修飾機構の解明を課題としている。本年度中に得られた結果は以下の通りである。 ラミニン結合モチーフであるポストリン酸糖鎖の付加部位を一カ所しか持たないα-DGのドメイン欠損変異体Δmucinl-Fcを用いて、HNK-1STがα-DG上に合成する硫酸化糖鎖の構造解析を共同研究者の協力のもと行った。ポストリン酸糖鎖の基礎構造となるリン酸化三糖[GalNacβ1-3GlcNAcβ1-4(P-6)Man]を検出したが、本年度中にはリン酸基の末端側の修飾構造や硫酸基の検出には至らず、実験系の改善が必要であると考えられた。 AGO61遺伝子欠損マウスを先天性筋ジストロフィーの病態モデルとして使用し、本疾患で生じるII型滑脳症の病態発症機構の解明を試みた。マウス胎児脳の免疫組織学的解析の結果、脳表面の基底膜の破綻は、胎生11.5日齢(E11.5)の時期に、興奮性神経細胞ではなく、より早期に発生するカハールレチウス細胞とsubplate neuronによる異所性の細胞塊形成が原因で生じることが明らかとなった。子宮内電気穿孔法により興奮性神経細胞をGFPで標識し、移動中の形態を観察した結果、AGO61遺伝子欠損マウス脳の神経細胞では、正常な双極性の形態がみられず、移動の方向にも異常をきたしていた。上記の知見は、先天性筋ジストロフィーで併発するII型滑脳症の病態解明に貢献する重要な知見である。 上記の研究と並行して、Lewis X糖鎖抗原の神経系における発現制御機構を解析した。マウス脳において、Lewis X抗原はO-マンノース型糖鎖上に存在し、その主要なキャリアタンパク質は受容体型フォスファターゼRPTPβとそのスプライシングバリアントphosphacanであることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫酸化糖鎖の構造解析が達成できていないが、AGO61遺伝子欠損マウスの解析では、先天性筋ジストロフィーで併発するII型滑脳症の病態発症機構の解明に貢献する知見を得て、論文を投稿するまでに進展したことから、おおむね順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Δmucin1-Fcを用いた糖鎖構造解析について、ポストリン酸糖鎖の修飾を受けたα-DGを濃縮するような前処理を施すなど実験系を改善して引き続き行い、HNK-1STが合成する硫酸化糖鎖の構造を決定するとともに、α-DGのラミニン結合モチーフであるポストリン酸糖鎖の全体構造の解明に取り組む。 先天性筋ジストロフィーにおけるII型滑脳症の分子病態解明に貢献するため、基底膜の破綻によって、興奮性神経細胞の移動形態や移動方向に異常が生じる分子メカニズムについて詳細な解析を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Book] Glycoscience : Biology and Medicine (Taniguchi, N., Endo, T., Hart, G. W., Seeberger, P. H., and Wong, C. H., eds)2015
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