2013 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎の病態解明を目指した新規モデルマウスの作成と免疫/腫瘍学的解析
Project/Area Number |
13J02056
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
犬塚 義 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 炎症性発癌 / HBV / 感染モデルマウス |
Research Abstract |
研究代表者のグループは、慢性炎症に伴ってActivation-induced cytidine deaminase (AID)が上皮細胞に異所性に発現し、その遺伝子変異導入活性を介して発癌につながることを提唱し、様々な消化器系臓器において数多くの報告を重ねてきた。一方で、Hepatitis B virus (HBV)は世界中で数多くの人に感染していることが知られているウイルスであり、また本邦でもHepatitis C virus (HCV)の次に多くの肝癌発症の原因として知られているウイルスである。その肝発癌メカニズムは様々なことが考えられており、特に慢性炎症に伴う発癌過程については研究の余地が多く残されている。我々は、タモキシフェン刺激で任意の時期にCreERT2を核内移行させることにより肝細胞特異的なHBs抗原の持続発現を誘導し、肝炎を惹起させることを目的としたマウス(ALB-CreERT2-HBsAg cTgマウス)を作成し、この原理に基づき急性/慢性肝炎モデルを確立し、肝炎から肝硬変を経て肝細胞癌に至る一連の過程をin vivoで検討することを目的とした。今回作成したALB-CreERT2マウスとの掛け合わせでは、タモキシフェン誘導下にてHBsAg発現が得られなかったため、poly (I:C)の誘導下にてCre蛋白が誘導されるマウスであるMx1-CreマウスとHBsAg cTgマウスをかけ合わせたマウス(Mxl-Cre-HBsAg cTgマウス)を作成し、実験を進めた。poly (I:C)の投与により、Creが誘導され、recombinationが起こり、肝組織内でHBsAgのmRNAが発現誘導され、血液中のHBsAg蛋白がELISA法にて確認された。これより、後天的に肝臓よりHBsAg蛋白を発現するマウスモデルの作成に成功したが、肝組織中には炎症細胞浸潤は確認されず、また血清ALT値の上昇も認められず、明らかな肝炎を誘導はできなかった。ただし、HBsAgの発現後にinterferon stimulated genes (ISGs)の発現誘導が確認され、内因性のインターフェロン下流遺伝子発現は確認された。今後は、肝発癌モデルとして1年間の経過観察を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であったALB-CreERT2-HBsAgcTgマウスは期待通りにHBsAgの肝産生ができないマウスであったため、Mx1-Cre-HBsAg cTgマウスを用いて実験を行った。現在、Institute of Genetics and Molecular and Cellular BiologyよりALB-CreERT2マウスを譲り受け、HBsAg cTgマウスとかけ合わせて実験を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Mx1-Creマウスでは、生下時からMx遺伝子発現が起こり、Cre蛋白が産生される可能性は否定できず、そのためタモキシフェンによりCreの核内移行されるALB-CreERT2マウスの方が本実験にはより適していると考える。いずれのマウスも用いて実験を継続していく予定である。
|
Research Products
(2 results)