2015 Fiscal Year Annual Research Report
揺らぎを取り入れた強結合格子QCDによる有限密度領域の解明
Project/Area Number |
13J02059
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市原 輝一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 理論核物理 / QCD相図 / 強結合格子QCD / 揺らぎ / 補助場モンテカルロ法 / 符号問題 / カイラル相転移 / 複素ランジュバン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)の相図は、高エネルギー重イオン衝突実験や、有限密度において中性子星とも関連がある。しかし有限密度領域では、QCDの第一原理計算である格子QCDに、符号問題という数値計算上の困難が存在する。そこで本研究課題では、格子QCDの強結合展開により符号問題の影響を抑え、場の揺らぎ効果がQCD相図へ与える影響を研究するものである。 まず補助場の揺らぎ効果を考慮した手法を用い、格子QCDの強結合・質量零極限下での、バリオン数高次揺らぎについて研究した。高次揺らぎはQCDの臨界点を探る指標であり、実験結果との関連が議論されている。得られた結果から、4次揺らぎは振動的に振る舞い、その負領域が相転移近傍・有限密度領域で出現した。先行研究結果を鑑みると、4次の負領域は有限体積効果により発現し、実験で実現する系における有限体積効果の重要性を示すものである。 次に符号問題に関する研究を行った。揺らぎを取り入れた強結合格子QCDでも符号問題が存在する為、本研究課題を含めたQCD相図研究では、符号問題への取り組みが重要となる。今回は複素ランジュバン(CL)法に注目し、厳密解と比較可能なカイラルランダム行列を用いた。CL法は間違った解に収束する場合がある為、ディラック固有値の最隣接間隔分布を解析し、CL法の解の収束性との関係を数値的に明らかにした。その結果、厳密解が判明していない理論(格子QCDなど)にCL法を適用した際、最隣接間隔分布が収束解の正しさを判定する指標になり得る事を示唆した。 最後に強結合格子QCDの第二主要項の研究を、共著者の主導で行った。平均場近似における鞍点を通る積分経路を用いると、2次相転移と考えられる領域では符号問題の影響が抑えられる事が判明した。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(10 results)