2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長崎 晃一 大阪大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | AdS/CFT対応 / Dブレーン / 非局所演算子 |
Research Abstract |
本研究のテーマは超弦理論とゲージ理論を関係付けるとされるAdS/CFT対応という予想である。このAdS/CFT対応は4次元のN=4超対称Yang-Mills理論(以下、ゲージ理論)と10 次元AdS時空の上で定義されたIIB型超弦理論(以下、超弦理論)の問の双対性である。この主張は解析が困難な超弦理論を現在までによく調べられているゲージ理論から理解出来ると言うものであり、その効果は非常に大きい。しかしこの対応に関して、現在までに完全な証明が得られた事はまだ無く、幾つかの状況証拠が知られているのみだ。本研究ではこの対応の有力な証拠を見つける事を目標とする。両理論の具体的な計算を実行し比較する。これによりこの予想が正しいという確信にまた一歩近づく事ができる。 本研究では非局所演算子という時空に局在せず広がって存在しているゲージ理論の演算子を用い、この対応を探る。本論文で扱う非局所演算子の一例は3次元の広がりを持ったインターフェースと呼ばれるものである。また我々は別の次元を持った非局所演算子である、't Hooft演算子と呼ばれる非局所演算子も用いる。この非局所演算子の分類に使われるYoung図と超弦理論のブレーンの関係を今回調べた。先述のインターフェースという非局所演算子はこの対応を調べるための有効なプローブとして使うことができる。超対称性が保たれるという条件からブレーンのAdS5xS5時空への埋め込みを記述する方程式を導くことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターフェイスという非局所演算子を用い、AdS/CFT対応について研究を進めた。現在までにこのインターフェースとトフーフト演算子の結合状態の系とそのAdS/CFT対応における対応物であるDブレーンについて論文にまとめPhysical Review Dにも掲載された。現在までにこのDブレーンの計を記述する方程式が決定できた。さらに研究が進めば、この方程式を完全に解き、ゲージ理論の非局所演算子と弦理論でのDブレーンの系の対応が完全に決定できると考えている。この成果については国内外の研究会において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で得られたブレーンの埋め込みを記述する方程式を解き、Young図とブレーンを完全に対応づけられないか調べる。 また非局所演算子の様なという時空に局在せず広がって存在しているゲージ理論の演算子を用い、AdS/CFT対応を調べることは非常に興味がある課題である。一般にこのような演算子のゲージ理論への導入により理論に新しいパラメータが加わる。このパラメータはトフーフト結合定数が大きな場合でも、その値の調整でトフーフト結合定数とこの新パラメータの組み合わせでの摂動展開を可能にする役割を果たす。このような非局所演算子の導入によるAdS/CFT対応の検証は新しく非常に有効な手段である。
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Research Products
(2 results)