2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02241
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植木 潤 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数論的位相幾何学 / 類体論 / 岩澤理論 / 肥田理論 / 結び目理論 / 3次元多様体 / 分岐被覆 |
Outline of Annual Research Achievements |
「幾何的イデール理論の研究」は、素数と結び目の類似に基づき、類体論・岩澤理論・肥田理論など由緒正しい理論の類似を推し拡げていくというものである。本年度は以下に列挙する成果が得られた。また他に、サマースクール「ピリオドとモチーフ」(マドリッド)「非可換岩澤理論」(小豆島)そのた多数の集会に参加して知見を広めた。 (1)「イデール類体論」の結び目類似については、 「新甫のイデール」の修正と十分な一般化を行い、新甫氏との共著論文を作成し雑誌に投稿した。ドイツや京都では新甫氏によって講演された。城崎では自分も講演を行った。 (2) 肥田理論については二橋結び目のRileySL2表現の普遍変形の具体構成を行った。これも森下・高倉・寺嶋らとの共著論文に纏められ雑誌に投稿された。大阪市立大学で講演を行った。 (3) 岩澤理論の類似については、扱う対象の一般化を行い「分岐Zp被覆」と名づけた。岩澤型公式の有理ホモロジー球面の「分岐Zp被覆」への拡張を行い、その分岐p冪被覆に対する「木田の公式」について論文にまとめなおしている。また研究の純幾何的意義についても、専門家との議論を通じて吟味が進んでいる。代数的な別証明について東京女子大で講演を行った。 (4) 「相対的な種の理論」の類似を定式化した。新甫のイデールが役に立った。これより自分の最初の論文で見出された未知の不変量に解釈が与えられた。またこれを応用することで「岩澤μ不変量」についての岩澤の結果の類似が記述できた。論文を作成し雑誌に投稿した。 (5) 萌芽的研究として、「素数の彩色数」を定義した。結び目の図式をn色に塗り分ける方法を「n彩色数」というが、基本群の言葉に直すことでその類似を考察できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目の計画には (1) イデール理論の応用を与えること (2) 岩澤理論の類似について「木田の公式」の研究を完成させること (3) ゼータ関数や双曲幾何との関係について考察を深めること (4) ドイツでの発表 が挙げられていた。一方で3年度目の計画の中には「列挙した大問へ良いアプローチできるものが現れたらそれを優先する」とあり、そこに肥田理論などが含まれていた。これらを「研究実績の概要」と比較し勘案すると、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から自然に立ち現れる問題が沢山ある。一方で「捻れアレクサンダー不変量」「p進む表現の岩澤理論」などを手掛かり更に世界を拡げることも重要である。ゼータ関数(L関数)について徹底的に考えることが主要な課題である。
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Research Products
(6 results)