Research Abstract |
様々な素材に対して, ついつい触れてみたいと感じ, 無意識にそれらに触れているという, 触察行動の誘引現象(Haptic Invitation)を工学的に利用可能とする技術の開発ならびに現象の機序解明に取り組んだ. 触察行動の誘引現象を工学的に利用する方法として, 本年度は, 触察行動, 触れてみたさの度合, テクスチャの材質感の確率的な関係を表すモデルを構築することで, 触察行動, 触れてみたさ, 材質感を相互に設計するシステムを開発した, 触察行動を表す特徴量として, 素材に触れている間の経過時間や移動距離素材に加えられた接触力の法線・接線成分などを用いた. これらは, カメラおよび力覚センサを用いて計測された行動量に基づき算出された. また, 材質感として, ミクロ・マクロな粗さ感, 硬軟感, 温冷感, 摩擦感, 光沢感という6種の特徴量を官能評価実験によって算出した. 以上の特徴量と, 順位付けに基づき算出された触れてみたさの間の関係は, ベイジアンネットワークを用いることで, 確率的に表現された. 構築された確率モデルを用いて, 特定の触察行動を誘引する確率の高い素材の材質感が推定可能となり, 触察行動, 触れてみたさ, 材質感を相互に設計するシステムとしての利用可能性が示された. また, 上記の触察行動および材質感の確率的な関係は, 際立った材質感を有する素材は, その材質感を体験するに適した触察行動の誘引する確率が高いという, 誘引現象のメカニズムを説明する仮説を支持する結果であり, 触察行動の誘引現象の機序を解明する糸口が得られた. 来年度は, この結果に基づき, 誘引現象のメカニズムの解明を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つである, 触察行動, 触れてみたさの度合, 材質感の関係を表す確率的モデルの構築は完了している. また, もう一つの目的である, 機序の解明に関しても, 得られたモデルを活用し, 機序を説明する仮説の提案を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
まず初めに, H25年度に提案した触察行動の誘引現象を説明する仮説の検証を行う. さらに, 誘引現象の利用可能性を拡大させるとともに, 現象の理解を深あるため, 材質感空間上での個人差を仮説に陽に取り入れ, 実験を通じてその仮説を検証する.
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