2014 Fiscal Year Annual Research Report
トスカーナ大公妃マリア・マッダレーナ・ダウストリアの居室装飾の分析
Project/Area Number |
13J02259
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太田 智子 千葉大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トスカーナ大公妃 / フィレンツェ / ピッティ宮殿 / 聖遺物 / ポッジョ・インペリアーレ離宮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ポッジョ・インペリアーレ離宮の装飾の着想源として先行研究において提案されているトスカーナ大公妃マリア・マッダレーナ・ダウストリアへの献呈書三点、即ち、ニッコロ・ロリーニ著『聖人暦の主要な聖女の賛辞』(1617)、フランチェスコ・グァルテロッティ著『大公女マリア・マッダレーナ・ダウストリアの賛辞』(1623)、クリストーフォロ・ブロンズィーニ・ダンコーナ著『女性の尊厳と高貴さに関する書』(1625)を精読し、叙述内容と離宮装飾における図像表現の間に見られる具体的関連性を検討した。 また、ポッジョ・インペリアーレ離宮の装飾事業に先行する大公妃による委嘱事業であるピッティ宮殿内礼拝堂、通称「聖遺物礼拝堂」の装飾を中心に、大公妃の宗教的実践について調査研究を実施した。2014年10月2日から10月15日にかけてフィレンツェにおいて現地調査を実施し、ピッティ宮殿銀器博物館にて開催されていた「聖なる光彩―聖遺物礼拝堂の宝物展」において、歴代トスカーナ大公妃が蒐集した聖遺物コレクション等を観覧したほか、大公妃マリア・マッダレーナが各地の宗教的権威や有力者を通じて行なった聖遺物蒐集、礼拝堂の装飾委嘱、礼拝堂における宗教儀式および聖地巡礼について調査した。この調査により大公妃の宗教的実践は、単に個人的な私的信条に基づいていたのみならず、むしろ、トスカーナ大公妃として、またオーストリア・ハプスブルク家出身者として、対抗宗教改革の動きに対応しながら冷徹な判断の元に行われたものであり、聖遺物礼拝堂はその中で中核的役割を果たしていたことを理解した。この研究成果は、論文「トスカーナ大公妃の聖遺物礼拝堂における蒐集/芸術委嘱/開帳」として、所属部局の研究プロジェクト報告書『歴史=表象の現在IIー記憶/集積/公開/』に報告した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)