2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J02260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溜 和敏 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド:アメリカ / 原子力協力 / 二国間関係 / エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、印米原子力協力協定の交渉過程(2008年締結)に関する追加調査、二国間関係をめぐるモデル構築、ならびにエネルギー政策をめぐるインド国内の政治過程に関する研究を進めた。 印米原子力協力協定の交渉過程についての追加調査として、第1に、前年度に引き続いての調査として、インド・ニューデリーにおける関係者(元政府当局者や技術者)への聞き取り等を実施した。当時のインド政府が抱いていた意図や、交渉の経緯、インドのエネルギー安全保障の観点での原子力協力の意義、協定をめぐる交渉が開始される以前の初期の動向、ならびに協力の実現に向けた現在の諸問題について聴取した。 この事例研究に基づいて、相互依存の進んだ二国間関係における外交交渉モデルの再検討を試みている。第一に、交渉モデルにパワーの観点を再導入することにある。インドはアメリカと比較してパワーにおいて劣るが、それゆえにインドでは相手国への関心が国内において相対的に高くなり、相手国への妥協が困難な環境が醸成されるという点から、パワーの非対称性が二国間関係に矛盾する影響を及ぼす可能性を論じている。第二に、従来捨象されてきた主席交渉者の選好(プリファレンス)をモデルに取り込むことを目指している。 本事例の調査を通じて、外交戦略上の観点だけでなく、インドのエネルギー政策としての重要性を確認した。そこで新たに、インドのエネルギー政策、とくに電力政策をめぐる政治過程へと研究を広げている。インドの電力政策は、1970年代末以降、電力料金引き下げを公約する政党により、農民など特定集団への利益誘導の手段となってきた。しかし経済発展の促進のため、2000年ごろから配送電部門の分割や料金決定権限の独立などの合理化が試みられている。こうした問題について、インド国内政治や経済などの専門家とも協力して調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドでの現地調査を精力的に行うことができた。研究テーマにおいても、インドにおけるエネルギー政策をめぐる政治という新たな観点からの考察を進めることができた。また、成果公表においても、日本国際政治学会での研究発表を行った。総じて、計画通りの進展をしていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成27年度は、インドにおける調査を継続しつつも、成果公表に一層努める。国内の学会誌への論文投稿を当初の目標として、これまでの成果を集成した単著の準備も進める。
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Research Products
(4 results)