2014 Fiscal Year Annual Research Report
図的推論を用いた人の自然な論理推論の解明と促進:論理学及び認知科学の統合的研究
Project/Area Number |
13J02291
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 有理 東京大学, 情報学環, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 図的推論 / 論理的推論 / 反例モデル / 認知科学 / 論理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、第一に、前年に導入した画像移動軌跡の記録による図的推論の戦略記述の研究を、さらに展開した。前提から導かれる妥当な結論がないことをオイラー図等を用いて判断する場合、図のオブジェクトレベル(幾何学的)情報だけでなく、メタ的な意味論的(位相的)情報を扱う必要が明確にある。このような帰結関係を考える際に、同時にオイラー図をPC画面上で動かすことを求める実験を実施した。その際の円画像移動軌跡を計測した結果、適切に大きさが固定された円の時だけでなく、不適切な大きさの円が与えられた時でも、ユーザは円の大きさを変更することで、同様の合成図の複数列挙戦略をとっていた。これは、図の視覚的な性質を偶然利用できただけでなく、図を意味論的なモデルとして認識し反例構築を行っていたことを示す。研究成果は、Cognitive Science Society 2014年大会 (CogSci 2014) に査読付き国際会議論文としてまとめ、またアイトラッカーを用いた分析を日本認知科学会2014年大会において発表した。 第二に、前年に引き続き、Johnson-Lairdのメンタルモデル理論に基づく三段論法推論を題材に、認知理論のモデリングを進めた。特に、認知モデリングにおいて軽視されがちだった、仕様 (specification) を与えることを目指した。タルスキ流意味論による論理学的形式化を、慶應義塾大学の研究報告書に論文としてまとめた。また、抽象的な形式化と通常のプログラム実装によるモデリングの中間様式として、強い静的型付き言語Haskellを用いた実装を行った。この研究成果は、2015年Cognitive Modeling国際会議 (ICCM 2015) に査読付き国際会議論文としてまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読付き国際会議論文としては研究成果をまとめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
第一の研究について、図的表現に関する論理学的形式化における扱いと実際の実験や認知における扱いのギャップを埋めることに焦点をあて、英語学術論文としてまとめる。 さらに、図的表現を現実の物や仮想現実の物に拡張して考え、条件文や連言文の理解において、それらがどのような影響を与えるのかについて研究を進める。
|
Research Products
(8 results)