2013 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子標準模型を超えたヒッグスセクターの理論的解明と加速器実験による検証
Project/Area Number |
13J02309
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
菊田 遥平 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒッグス粒子 / 結合定数のずれ / 結合定数のずれの相関解析 / 加速器実験での検証 / 模型の区別 / 電弱相転移由来の重力波 / 真空エネルギー |
Research Abstract |
一つ目の研究として、高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授・総合研究大学院大学(総研大)教授の野尻美保子氏と総研大生の久保田浩永氏と共同で「標準模型を超えた物理におけるヒッグス粒子の結合定数を調べて模型を区別する」というものを行った。我々はヒッグス粒子の性質の中でも特に他の素粒子との結合定数に注目して、それが標準模型の予言とどの程度ずれ得るかを調べることで加速器実験における模型の区別を調べた。先行研究においては特定の結合定数のみを議論するものがほとんどであったが、我々は複数の結合定数のずれの相関をみることで模型の区別可能性を定量的に議論した。具体的な模型として、複合ヒッグス模型、超対称標準模型、標準模型にスカラー一重項を加えた模型、の三つを調べた。すべての模型において電弱精密測定などの実験的制限を考慮して結合定数のずれを調べた結果、ツリーレベルの結合定数のずれの相関と1ループレベルの結合定数のずれの相関を用いることで、広範なパラメータ領域でこれらの模型が区別できることを発見した。この研究により、新たな粒子が発見されない場合でも標準模型を超えた物理シナリオの区別可能性を高めることができ、それは将来の加速器実験に更なる価値を付与することにもつながる。博士論文執筆に多くの時間を割いたため平成25年度中の論文投稿は叶わなかったが、主要な部分は解析し終わっているので近い将来に投稿できるものと思われる。 二つ目の研究は、KEK・総研大准教授の郡和範氏と総研大生の蘇垠成氏と共同で「電弱相転移由来の重力波における真空エネルギーの影響と将来実験における観測可能性」というものを行った。結果としてその効果は小さいことを発見し過去の計算の妥当性を定量的に明らかにすることができ、さらにこれまで指摘されていなかったパルサー実験における観測可能性も発見した。これも近い将来に論文投稿ができるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
博士論文執筆に多くの時間を割いたため、論文にするまでの十分な時間を確保することができなかった。さらに、複数の研究を同時に進行させたことも時間が掛かってしまった原因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿がまだできていないので、それを行う。研究の主たる内容に関しては解析が終わっているので、論文として形にしてすることに注力する。 また、本研究の今後の発展としては、更に多くの模型に関して同様の解析を行い、標準模型を超えた物理シナリオの区別可能性を明らかにすることである。実験家の解析が進んでいない部分もあるので、理論的な研究を進めて重要性を示すことによって解析を促し、相互発展につながることも期待できる。
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Research Products
(1 results)