2013 Fiscal Year Annual Research Report
協奏機能触媒開発に向けた層状結晶層間・表面の精密な設計
Project/Area Number |
13J02320
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
朝倉 裕介 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 層状ケイ酸塩 / 協奏触媒 / シリル化反応 / インターカレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、結晶性である層状ケイ酸塩の特徴を活かして層間表面に有機分子を規則的に修飾し、その有機分子の環境を系統的に制御することで、担体の無機固体環境が有機分子の触媒作用に与える影響を正確に理解できるモデルケースを作ることにある。本年度は、以下の三項目の実験を行った。 ①層状オクトシリケート層間へピペリジノ基を固定化した触媒合成と協奏触媒能の調査 シリル化反応およびアミンの高級化反応を用いることで、層状オクトシリケート層間に規則的にピペリジノ基を固定化し、Si-OH基とピペリジノ基のN部の距離が1つの固体中で一定な物質の合成をおこなった。同時に、Si-OH基とピペリジノ基のN部が協奏して触媒反応に関わっているかを調査する目的で、Si-OH基の代わりにSi-OCH_3基とした物質も合成した。ニトロアルドール反応に対する触媒能を調査したところ、si-oH型の触媒はSi-OcH_3型の触媒よりも高活性を示した。Si-OH型の方が高活性を示したことは、Si-OHH基が酸点としてアルデヒドを活性化し、ピペリジノ基が塩基点としてニトロメタンのプロトンを引き抜く協奏触媒作用であることを証明できた。 ②新規ホストとして使用可能な層状ケイ酸塩の探索 新規ホスト材料の調査中に、層状ケイ酸塩の1つβ-helix-layered-silicateを多段階で処理し、層間にN,N-ジメチルプロピオンアミドが存在する状態で焼成することで、トポタクティックな層間縮合により板状形態を有するAST型のゼオライトに転換することを初めて示した。 ③層状オクトシリケート自身の特性調査 層状オクトシリケートの性質を調査していたところ、酸処理した層状オクトシリケートをN-メチルホルムアルデヒド中で還流を行うと、層間縮合しRWR型ゼオライトを形成することを発見し、従来よりも熱安定性が向上したRWRゼオライトを形成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
合成した層状オクトシリケート誘導体が協奏触媒作用を持つことを示すことができた。それとともに、層状ケイ酸塩の基礎的な調査から層状ケイ酸塩の層間縮合によるゼオライト化に関する科学的価値の高い知見を得ることができたため、本年度は当初の計画以上に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
層状ケイ酸塩層間を修飾することで、規則的にピペリジノ基を固定化し、Si-OH基とピペリジノ基のN部の距離が1つの固体中で一定な物質の合成でき協奏触媒作用を示すことが出来たため、設計を少し変化させることで酸点-塩基点間の距離を制御し、酸点-塩基点間の距離がニトロアルドール反応に与える影響を調査する。 また、触媒反応において溶媒を添加し層間を膨潤させることで、層間への基質の拡散性を上昇させ触媒反応効率を上昇させる。特に溶媒としては、SiOH基と相互作用の強いアミド系の分子を選択する。
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Research Products
(16 results)