2015 Fiscal Year Annual Research Report
コフィリンが飽和結合したアクチン繊維の分子間相互作用を近原子分解能で解き明かす
Project/Area Number |
13J02335
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 康太郎 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アクチン / コフィリン / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子顕微鏡画像処理プログラム Eos (安永、若林、1996)を用いて、らせん対称線維の単粒子解析プログラムを構築した。そのプログラムを用いて、コフィリンが飽和結合したアクチン線維(以下、cofilactin)の3次元構造を、クライオ電子顕微鏡像の単粒子解析により7.4 Å分解能で明らかにした。分子動力学計算によるモデル構築プログラム MDFF (Trabuco et al., 2008)を用いて、密度マップに基づくcofilactin原子構造モデルを構築した。D-loopはアクチン分子単量体において最もフレキシブルな部位であるが、アクチン線維形成時にはループ構造を取り、線維の上下のアクチン分子間を強固につなぐ重要な接着点として働くことがわかっている。また、コフィリンがアクチン線維に結合して線維の分子間相互作用を変えるためには、このD-loopによる接着点を弱体化する必要があると考えられていた。しかし本研究によるモデリングの結果、D-loopはαヘリックス構造としてモデル化した方が密度マップをよく説明するとわかった。αヘリックス構造をとると、D-loopの側鎖は隣接アクチン分子から離れる方向を向くため、コフィリンが分子間結合を破壊する文脈でこれは効率の良いシステムである。また、cofilactin原子構造モデルの静電ポテンシャルを計算して可視化したところ、ヘリックス構造へとフォールドしたD-loopが存在する空間は、アクチンの負電荷表面とコフィリンの正電荷表面に挟まれており、αヘリックスの電気双極子を安定化する方向の電場が生じているとわかった。この電場がD-loopのヘリックス構造転移を促進・安定化し、コフィリンの作用を助けている可能性がある。現在、コフィリンの正電荷表面の正電荷残基の電荷反転変異体・電荷消失変異体の発現系を構築し、電場の役割を実験的に確かめている。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)