2013 Fiscal Year Annual Research Report
界面の分子科学を基礎とした相間移動触媒反応のマルチスケールシミュレーション
Project/Area Number |
13J02345
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 信明 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン輸送 / water finger / 界面 / 分子動力学 / 自由エネルギー計算 / レプリカ交換法 / 活性化障壁 |
Research Abstract |
1. water fingerを射影した座標の開発 イオンが界面を通過する際、イオンと界面をつなぐ水の柱が形成する。この水の柱はwater fingerと呼ばれ、イオンの界面透過速度への影響が疑われている。我々は分子動力学シミュレーション上で、このwater fingerの構造を適切に射影する座標の開発に成功した。 このような座標の開発は、イオン輸送を分子動力学シミュレーションにより解析する上でこれまで大きな課題となっていたものである。 2. 二次元自由エネルギー曲面計算のプログラムの開発 上記の座標とイオンの位置を座標とした二次元の自由エネルギー曲面計算のプログラムを開発した。自由エネルギー計算で正しい結果を得るには、water fingerの形成切断を効率よくサンプリングする必要があるが、water fingerの形成切断のタイムスケールは非常に遅く安易な方法では困難であった。そこでHamiltonian Replica Exchange Methodを用いることにより、サンプリングの効率化を図った。 3. 自由エネルギー曲面の計算と議論 開発した計算プログラムのテスト計算として水気液界面におけるヨウ素イオンの界面通過の解析を行った。計算の結果、これまでの研究では見ることができなかったwater fingerの構造変化による4kcal/molほどの活性化障壁の存在を明らかにした。また、この活性化障壁の存在が、これまでの研究で行われていたイオンの位置のみの自由エネルギー曲線の計算でみられていた初期構造の作成方法の違いによるヒステリシスをうまく説明できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気液界面の計算は上手く実行できたが、液液界面の計算ではモデルの精度の問題で実験結果との定量的な一致が非常に悪くなってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、より精度の高いモデルである分極モデルを用いることで上記問題の改善を図っている。予備的な計算によると分極モデルの使用により定量性が回復で来ている。今後、液液界面や対イオン存在時についての解析を行っていく予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Tip-Enhanced Raman Spectroscopy of 4,4'-Bipyridine and 4,4'-Bipyridine N, N'-Dioxide Adsorbedon Gold Thin Films2013
Author(s)
Izabela I. Rzeznicka, Hideyuki Horino, Nobuaki Kikkawa, Suguru Sakaguchi, Akihiro Morita, Satoshi Takahashi, Tadahiro Komeda, Hiroshi Fukumura, Taro Yamada, and Maki Kawai
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Journal Title
Surf. Sci.
Volume: 617
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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