2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター変分法によるB2規則相中の転位芯構造の解析
Project/Area Number |
13J02373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 泰徳 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター変分法 / B2規則相 / 転立芯構造 / Nudged Elastic Band 法 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、Gaussian CVMと原子論的計算を応用し、 B2規則合金の降伏応力の温度依存性を解析することである。当初、平成25年度はGaussian CVMによる転位芯構造の解析を目標としていた。しかしながら、Gaussian CVMで得られるミクロスケールの熱力学特性とメソスケールの機械特性である降伏応力とを関連付けるためのモデル構築が優先の課題であると判断し、下記の研究を遂行した。尚、単純化のために以下の計算は通常のクラスター変分法(CVM)を用いている。 ①CVMとNudged Elastic Band法(NEB)を応用したキンク対の形成エネルギーの計算 : CVMとNEBを応用しB2規則相中の転位のパイエルス応力を計算し、算出したパイエルス応力を基にNEBによるキンク対の形成エネルギーを計算した。この計算ではCVMを応用することで、転位芯構造に加え、有限温度での平衡なLong Range Order parameter (LRO)の導出が可能である。また、キンク対の形成エネルギーは、独立した転位の臨界分解せん断応力の温度依存性および非熱的な降伏応力に関する重要な情報を与える。 ②Phase Field法(PFM)とDislocation Dynamics simulation (DD)のカップリングによるBCC規則相中の転位運動の解析 : ①の計算は独立した転位の運動を対象とする。しかしながら、合金中の転位運動は複雑な内部組織や転位組織と強く相互作用し、降伏応力の計算はこれらのメソスケールの相互作用を考慮する必要がある。そこで本研究では、D. RodneyらのPFMとDDのカップリング手法に修正を加え、 BCC規則相中の転位運動の計算モデルを作成した。計算の結果、らせん転位のcross slipに加え、規則相による転位のpinningおよびAPBによって結合されたsuper-partial dislocationの形成が観察され、 BCC規則相で想定される特徴的な振る舞いが再現された。また、この時の降伏応力は弾性応力の空間平均として計算される。 上記の計算結果より、①で得られた独立した転位の物性値を基に②のメソスケールにおける降伏応力の計算を行うことで、CVMで得られるミクロスケールの熱力学特性とメソスケールの機械特性である降伏応力とを関連付けることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の修正は伴ったものの、平成25年度の研究を通しCVMで得られるミクロスケールの熱力学特性とメソスケールの機械特性である降伏応力とを関連付ける方法について一つのアプローチを示すことができた。 今後はCVMの派生的モデルであるGaussian CVMを応用し上記の計算を行うことで、B2規則合金の降伏応力の計算が可能となり、本研究の目的を完遂できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究では、計算の単純化のために通常のCVMを使用した転位芯構造の計算を行っている。しかしながら、理論的な妥当性を担保するためにも、今後は連続変位クラスター変分法またはその派生モデルであるGaussian CVMによる計算が望ましい。しかしながら、Gaussian CVMによる応用はほとんど報告されていない。そこで今後は、Gaussian CVMと第一原理計算を組み合わせた、原子の平均二乗変位、格子定数の温度依存性の計算を行う。その後、GaussianCVMによる転位芯構造の計算を行い、"9. 研究実績の概要"で述べた、①と②の計算を経て、有限温度における降伏応力の温度依存性の計算を行う。
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Research Products
(3 results)