2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際政治秩序の変更と主権国家成立要件の変更との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
13J02379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 裕視 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国家主権 / 国際秩序 / 民族自決権 / 国連信託統治 / アフリカ / 脱植民地化 |
Research Abstract |
本研究は国際社会の基本構成単位たる主権国家の成立要件について検討し、新生国家独立と国際秩序との間で、いかなる相互作用が存在するかを考察することを目的とする。その上で、主権国家の成立が量、質ともに際立ったアフリカの脱植民地化における、国連信託統治の終了要因と民族自決権の適用範囲についての分析を国連・関係施政国政府の一次資/史料を用いて分析を行う。平成25年度は主として以下の3点について注力した。(1)理論構築および問題設定の精緻化。(2)事例研究の対象決定。(3)事例研究対象となる国・地域における資/史料収集調査の実施。 (1)主権国家の独立が国際政治理論上、どのような観点から捉えうるものであるかについて検討した。具体的には、大規模な国際紛争や対立の終了を異なる規範間の衝突が調整される機会として捉える国際立憲主義者の観点を領土保全と民族自決権という規範間の衝突に適用し、9月に国際学会にて口頭報告を行った。また、当該学会への提出原稿をまとめる過程は、いかなる条件の下で主権国家の独立を容認する「了解(同意〉」は形成されるのか、という問いの導出に寄与した。 (2)理論と実証事例の整合性と時間的制約を勘案して、国連信託統治における早期独立対象地域に限った分析を行うこととした。具体的には、英領 : タンガニーカ、カメルーン、仏領 : カメルーン、トーゴランド、ベルギー領 : ルワンダ・ウルンディである。 (3)欧州の公文書館における資/史料収集調査、2014年2月に変更して実施した。同調査では、英国(ロンドン)とフランス(エクサン・プロヴァンス、パリ)において、信託統治地域にかかる1955年から1960年の国連信託統治理事会での議論を対象とした各担当省庁の文書を収集した。 初年度は全体として博士論文研究の基盤作りに注力した。その点では準備作業に大半を費やしたことになるが、来年度以降の博士論文研究を着実に進展させる上で、不可欠な過程であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究命題の精緻化および事例研究の対象決定により、学会報告を通じた理論面での整理と在外資/史料収集調査が前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
在外資料収集調査の実施により研究は進展したが、入手してきた文書の整理・分析が当面の優先課題となる。また、一部の事例研究については未入手の資料が存在する。そのため、手元の資料の整理・分析を反映した仮説と理論枠組みの構築、追加資料収集が次年度を通じた課題となる。
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Research Products
(1 results)