2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河瀬 麻里 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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Keywords | 花粉症 / 森林 / スギ / アンケート調査 / )国際研究者交流 / スウェーデン / フィンランド / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
花粉症は、くしゃみや鼻水などの症状を引き起こすアレルギー病である。1964年に栃木県日光市でスギ花粉症患者が発見されて以来、日本では、スギさらにはヒノキ花粉症が、患者数の多い都市部で深刻な社会問題となっている。その主な原因は、排ガス等の複数の因子に加え、戦後の社会的要請を背景として、人口密集地帯に、スギ・ヒノキという単一樹種が大量に一斉植林されて出来た人工林が、花粉を大量発生する林齢に一斉に達したためだと考えられる。本研究では、これを人工林花粉問題と呼んでいる。 本年度は、特に、花粉対策に関する苗木問題と若者の森林観(森林に対する意識)の解明に取り組んだ。森林観と花粉対策に対する意見の関係性について考察するため、日本とスウェーデン、フィンランドおよび米国の大学生を対象に意識調査を実施した。また、東京都、富山市、京都市の一般市民を対象に、森林と花粉症に対する意識調査を実施した。集計と分析の発表を予定している。 花粉症は日本に限った問題ではない。例えば、北欧のシラカンバ花粉症は、日本のスギ・ヒノキ同様、経済価値をもつ樹木の花粉症である点で重要な比較対象である。本研究は、日本の人工林花粉問題に関する研究を国際的な視点で論じ英文論文として蓄積することを目指している。本研究は、人工林花粉問題が起きて久しい日本を花粉被害の重要な事例と位置付けている。世界中の国や地域の将来の人工林花粉問題に対する基礎資料の提供という点で国際的に大きな意義を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、特に、若者の森林観の男女差を検討し、国際集会で発表した。従来のアンケート調査に加えて、面接調査を実施した。人工林花粉問題については、林野行政における花粉対策の位置づけを解明するため、苗木の問題に取り組み、特殊品種という概念を森林学会で提唱した。東京都、富山市、京都市および北欧2か国、米国でアンケート調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、人工林花粉問題と森林観に関する研究の成果を学会発表および英文論文投稿を通じて公表する。花粉症を引き起こす植物に対する地域の人々の意識を、アンケート調査により考察する。これらを通じて、人工林花粉問題の理念と位置づけ、森林観との関係性、および、花粉対策について、環境経済・資源経済両面からの経済評価を行う予定である。
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Research Products
(3 results)