2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳性麻痺児のリズム聴覚刺激に伴う歩行筋活動の変化の非負値行列因子分解による解析
Project/Area Number |
13J02442
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋口 優 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳性麻痺児 / 歩行時筋活動 / NNMF / 筋活動パターン / リズム聴覚刺激 |
Research Abstract |
脳性麻痺児は、幼若な脳に生じた損傷や欠損により様々な運動障害を呈する。特に歩行機能については児の社会参加・パーソナリティの形成に重要な機能とされている。本研究では、脳性麻痺児の歩行に関して歩行時筋活動を筋電図を用いて測定し、その解析手法を工夫して以下を明らかにすることを目的とする。 研究1. 脳性麻痺児における非負値行列因子分解(Non-Negative matrix factorization : NNMF)による歩行時筋活動の評価 京都大学医学部附属病院に外来通院している脳性麻痺児、および京都市内の総合支援学校に通学する脳性麻痺児を対象として、脳性麻痺児の歩行時筋活動を測定する。発達に伴い獲得された脳性麻痺児の歩行時筋活動は対象による多様性に富むため、評価・解釈し説明することは困難である。これに対して、本研究ではNNMFを用いた評価を行う。NNMFとは、多様に変化する波形から共通のパターンを抽出する解析であり、脳性麻痺児の歩行時筋活動より主要な筋活動パターンを抽出することが可能である。本研究では得られた筋活動パターンを健常者の筋活動パターンと比較することにより、脳性麻痺児の歩行時筋活動のコントロールに関する問題点を明示し、また得られた筋活動パターンの特徴とその他の臨床的な指標や運動学的な指標との関係性を示すことで脳性麻痺児における筋活動パターンの位置づけを明示する。 研究2. 脳性麻痺児の歩行に対するリズム聴覚刺激(Rhythmic Auditory Stimulation : RAS)の効果 Kwak EEらは、脳性麻痺児の歩行に対してリズム聴覚刺激(RAS)を与えることで、歩行速度や歩幅などの運動学的指標が改善することを報告している。本研究では、この運動学的指標の改善の背景にある歩行時筋活動の変化について、NNMFによって抽出された筋活動パターンを用いて評価し、RASの効果を検証し、脳性麻痺児の歩行機能の改善における神経学的なメカニズムを明確にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定として研究1で示していた、脳性麻痺児を対象としてデータの測定を修了し、健常者との比較・さらに臨床的に用いられている評価指標との関係性を示すことが出来、脳性麻痺児におけるNNMFで抽出される筋活動パターンが脳性麻痺児の歩行障害の一つである可能性を示唆する結果を得ることが出来た。しかし、それらの結果を学会発表や論文発表することによる公表や、意見交換については未だ大きく進むことが出来ていない。新しい解析方塗を利用していることから、今後は初年度に収集したデータの解釈と公表を急ぎ多く意見交換が出来る機会を作る必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進展としては、論文の投稿および国際学会での発表を行うことにより、同一の分野における他の研究者との意見交換から解析手法の見直しおよびデータの解釈、そして新たな研究テーマの構築を考察する必要が有ると考える。また、研究2として脳性麻痺児における筋活動パターンを変化させる要因としてリズム聴覚刺激が有効であるかどうかの検証を行う。さらに、その他の方法として介入方法を検索する。さらに、NNMFを用いて得られる筋活動パターンの応用として、臨床現場での利用の可能性についても検討する必要がある。そのためには、医学研究科以外の研究者との意見交換が必要であり、そのために現在は神経学を含む研究テーマを持つ他の研究科の研究者に連絡を取り、定期的な研究会議を行っている。
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Research Products
(2 results)