2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウマの組織由来間葉系幹細胞を用いた骨軟骨再生に関する研究
Project/Area Number |
13J02468
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村田 大紀 山口大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 関節軟骨 / 軟骨下骨 / 再生 / 幹細胞 / 脂肪組織 / MMPig / 構造体 / スキャフォールドフリー |
Research Abstract |
①動物の脂肪組織から離培養した幹細胞を, スキャフォールドフリーで三次元配し細胞のみからなる構造体を作製することに成功した. ②同一個体の関節に作成した骨軟骨欠損部に, した三元細胞構造を埋植しおよび軟下骨を再生させることに成功した. まず, マイクロミニピッグ(MMPig)から脂肪組織を採取して得られた間葉系幹細胞を用いて, 移植に適した三次元構造体の開発に取り組んだ. 脂肪から分離した幹細胞を増殖させ, 4×10^7個以上が得られた段階で, 1wellあたり5×10^4個ずつ, 96wellのU底プレート8枚に播種した. 48時問後, 細胞が球状の集塊をなして形成するスフェロイドを, 鋳型の中に約760個積層し, 直径4mmで高さ6mmの, 移植に耐えうる強度を十分に持った円柱状の細胞構造体を完成させた. 次に, 大腿骨滑車溝に骨軟骨欠損を作成し, 同一個体の幹細胞を用いて準備した細胞構造体を欠損部へ埋植して, 骨組織の再生をCT検査によって経過観察した後, 最終的には剖検後に組織学的に評価した. CT検査では移植後3ヶ月頃より, 欠損部の辺縁から万遍無く縮小する経過が観察され, 移植した細胞構造体の辺縁から徐々に骨化していく現象が観察された. 移植後6ヶ月の組織評価では, 正常組織と移植組織の境界表面が比較的滑らかに再生されており, 欠損部浅層には軟骨組織が再生され, 深層には軟骨下骨が形成されていた. 移植後12ヶ月では, 移植境界表面が非常に滑らかに再生されており, 欠損部の表層には軟骨組織が正常軟骨とほぼ同様の厚さで再生され, そのすぐ深層には軟骨下骨が形成されていた. この結果より, 骨と軟骨の組織を同時に再生させることに成功した. また骨軟骨再生の過程は, 欠損部に細胞構造体を移植することで形成された再生軟骨において, 軟骨内骨化の機序により骨が再生される経過を辿ることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り, MMPigから採取した皮下脂肪を用いて分離・培養した幹細胞を三次元配置して, 移植に十分耐えうる強度を持った立体構造体を作製することができた, 大腿骨滑車溝(非荷重面)に作成した骨軟骨欠損に, 作製した細胞構造体を充填し, 移植部における軟骨および軟骨下骨組織の再生を観察することができた. 既に, この成果を国内外で学会発表し, また論文として科学雑誌にも投稿済みで, 現在は査読審査中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は, MMPigの大腿骨の非荷重面への移植を試みた. 骨軟骨をセットで再生させることに成功した本結果より, 今後は荷重面への移植の必要性を求められることが予想される. また骨軟骨研究においては, いまだにミニブタを使用することが一般的であり, 同様の手技で同様の成果をミニブタでも求められることが予想される. そのため来年度は, ウマの関節内に作成した骨軟骨欠損部に関節鏡視下で細胞移植する方法を検討しながら, それと並行してミニブタの大腿骨の荷重面への移植を行う予定である, 移植部位には大腿骨内穎を想定しており, これまでのMMPigの非荷重面への移植と手術手技が異なる部分があるが, 既に先行実験として大腿骨内顆ヘアプローチする手技を確認済みであり, 来年度には直ぐにでも荷重面移植できる準備が整っている.
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Research Products
(3 results)