2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代インドにおける女性の世捨てと社会参加-「超俗的フェミニズム」の実現可能性
Project/Area Number |
13J02529
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱谷 真理子 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 宗教 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代インドで、女性が「世捨て」という文化装置を通じて、いかに自律的な生き方を確立し、またそうした生き方が可能となるようなオルタナティヴな公共空間をつくりだしていけるのか、修行としての社会奉仕活度に着目して明らかにすることである。本年度は、北インド・ハリドワールを中心に、約10ヵ月間のフィールドワークを実施した。具体的な内容は以下の2点である。 ①クンブメーラー祭とそれ以降における、ジュナー・アカーラー教団組織の女性組織の活動実態について調査した。日常的なジェンダー差別に従属・受容する一方、女性たちが親族や儀礼的家族、近所づきあいなど関係性を活用し、それらを拡張・再構築していくことが、彼女たちにとっての生きる喜びや女性の生きやすい場所の創出へつながっていく可能性を、論文(『南アジア研究』に投稿・査読中)で議論した。 ②女性行者たちによる朝の集団托鉢実践を参与観察し、そこでの女性たちの相互扶助実践やジェンダー関係について調査した。また、女性行者が施食などの社会奉仕活動を行うギーター・クティール修行道場を中心に、施食の場で女性同士のインタラクションがどのようにみられるか、継続的に調査を行った。調査成果については、2014年5月の日本文化人類学会第48回研究大会で発表後、投稿論文を執筆する予定である。 当初期待していたような女性行者の連携や積極的な運動は当事者のあいだに見いだせず、むしろ顕著だったのは、出身地や修行の達成度などに基づく差異化や競合であり、女性たちの多くは男性グルやパートナーに依存して暮らしているのが現状である。しかしながら、関係性に依存しながらも、それらを自分たちが生きやすいように活用し、生きる喜びや楽しみを実現しようとする姿や、互いに「姉妹」と呼び合いケアしあうゆるやかなっながりも見いだせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りフィールドワークを実施し、女性行者の修行実践や社会奉仕活動について理解を深めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの調査成果をもとに、欧米フェミニズムに対するインド女性行者の「在地のフェミニズム」のありかたを考察・議論していく。また、シヴァ派女性行者についての調査成果を整理した後、ヴィシュヌ派女性行者の調査を始める予定である。
|