2015 Fiscal Year Annual Research Report
「あかり」全天観測が明らかにする、銀河スケールの有機物質の流れと進化
Project/Area Number |
13J02536
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 徹 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / 「あかり」衛星 / 衛星観測 / 黄道光 / 惑星間ダスト / 太陽系 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は、日本の赤外線天文衛星「あかり」によって得られた、中間赤外線(波長9, 18 micron帯)diffuse全天マップの作成、およびそのマップを用いた科学的研究を行った。 私は「あかり」データ処理・解析チームの一員として、中間赤外線diffuse全天マップの作成に携わり、黄道光差引を担当した。黄道光とは太陽系内の惑星間ダストからの熱放射であり、中間赤外線においては支配的な前景成分である。つまり「あかり」全天マップを用いて、銀河系や系外銀河の星間物質からの放射を捉えるためには、黄道光の正確な差引が必要不可欠である。従来用いられていた黄道光モデルによる差引では、高銀緯領域の淡く広がった星間物質からの放射を捉えるには不十分であったため、私は「あかり」のデータを使って新たな黄道光モデルを作り、これまで以上に正確な黄道光の除去を可能にした。 また同時に「あかり」中間赤外線全天マップは、全天の黄道光放射をかつてない高い空間分解能でトレースしたものであるため、惑星間ダストの研究をする上でも有用なリソースである。私は新たな黄道光モデルの構築を行うことによって、惑星間ダストの温度や密度の分布を推定した。その結果、ダストのサイズや供給源に関する知見を得ることができ、さらに地球近傍において十数年のタイムスケールで惑星間ダストの空間分布が変化していることが分かった。これらの成果は論文および学位論文にて発表した。 黄道光に関しては、当初の予定以上に多くの科学的な成果を出すことができたが、銀河系や近傍銀河における有機物に関する研究は、当初の予定通りに進めることはできなかった。しかし現状では、黄道光除去を含め「あかり」中間赤外線diffuse全天マップ作成プロセスがほぼ完了しているため、今後「あかり」全天マップを用いた、有機物をはじめとした星間物質の研究が進むことが期待される。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)