2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02544
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐藤 丈寛 琉球大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 体毛 / 琉球 / ゲノムワイドSNP / 集団構造 / GWAS |
Research Abstract |
本土日本-琉球集団間おける体毛分布差異の統計学的評価 関連解析のための表現型データとして、本土日本または琉球出身の男性約500人の顔面・前腕・手背・下腿・足背をデジタルカメラで撮影し体毛の多さを0~4の5段階のグレードで評価した。各部位の体毛の多さを本土集団と琉球集団で比較するためにマン・ホイットニーのU検定を行ったところ、足背を除くすべての部位で琉球集団が本土集団より有意に体毛が多いことがわかった。また、各部位のグレードを変数として主成分分析を行った結果、固有値が1以上となったのは第2主成分までで、主成分負荷量から第1主成分は全身的な体毛の多さ、第2主成分は手足の毛が多いか髭が多いか、を表す成分であると解釈することができた。本土集団と琉球集団の間で第1主成分得点の分布を比較した場合でも、琉球集団は本土集団より体毛が多い傾向にあることが確認できた。 ゲノムワイドSNPデータに基づく琉球人の集団構造 被験者から採取した血液または唾液からDNAを抽出し、DNAマイクロアレイによりSNPタイピングを行った。主成分分析を行ったところ、第3主成分で沖縄諸島の人々と宮古諸島の人々が2つのクラスターに別れ、その間に八重山諸島の人々がプロットされるという結果が得られた。このことは、沖縄本島地方の人々と宮古諸島の人々は遺伝的に分化しており、八重山諸島は沖縄本島地方から地理的に離れているにも関わらず、八重山諸島の人々は宮古諸島の人々よりも遺伝的に沖縄本島地方の人々に近縁であることを示す。これらの結果は、過去に琉球諸島の人々が北琉球集団(沖縄本島地方の人々から成る集団)と南琉球集団(宮古諸島の人々と八重山諸島の人々から成る集団)に分化しており、より最近になって八重山諸島の人々が沖縄本島地方からの移住者による遺伝的影響を受けたことを示唆している。今回得られたデータは、琉球人の成り立ちを明らかにするための重要な知見になるとともに、今後関連解析を実施する上でも有用な情報となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、十分な個体数の表現型データならびにゲノムデータの収集を終えることができた。両データの整理も概ね完了しており、次年度から速やかに関連解析を実施することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
体毛の多さを5段階のグレードで評価した表現型データを用いて重回帰分析により関連SNPの探索を行う。共変数には年齢やゲノムデータに基づいた主成分得点などを用いる。本研究で収集されたサンプルには明確な集団構造が存在するため、K-means法を用いてサンプルを本土集団・琉球集団に分割し、それぞれの集団について個別に関連解析を行った後、メタ解析を行う予定である。
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