2013 Fiscal Year Annual Research Report
生活世界の現代的変容とリテラシー実践-ネパールのタマン人コミュニティに着目して
Project/Area Number |
13J02569
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安念 真衣子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リテラシー / 南アジア研究 / 民族 / 教育 / 開発 / 日常生活実践 |
Research Abstract |
本研究は、現代ネパールにおける少数民族言語話者の生活世界の変容を、リテラシー実践を事例として、近年緊密化しつつあるグローカルな「農村―都市―海外」ネットワークの中で理解することを目的とする。フィールドワークを通して日常生活における文字使用場面に着目し、生計維持活動の多様化とそれに伴う共同体の社会関係の変容を明らかにすることを目指す。 前述した目的を達成するために、採用初年度である本年度は、参与観察と聞き取り調査によるフィールドワークを中心とした研究活動を実施することとした。調査地は、首都カトマンズ市および近郊農村地域であるカブレ郡を中心に据えた。そして、以下の三点に関する調査を計画した。①タマン人コミュニティとグローカルネットワーク状況、②タマン人コミュニティにおけるリテラシー実践の実態と位置づけ、③リテラシー実践とタマン人コミュニティの変容過程、である。 4月から8月までの間、前年度までにおこなったタマン人識字教育活動についての研究のとりまとめ、および博士論文の調査計画の組み立てをおこなった。これらについては、国内の主たるネパール・ヒマーラヤ地域の研究者が集う研究会において発表し、議論をおこなった。9月からは6か月間の渡航期間を設け、現地調査をおこなった。農作業を主とする日々の生活をともにするなかで、日常的に使用される書面の収集をおこなった。また、2014年1月から政府のキャンペーンとして開始された識字教育プログラムに参加し、聞き取りをおこなった。さらに、日常的に女性たちとかかわりながら、彼女たちの社会参加の状況や活動領域の把握につとめた。そして、日常生活におけるリテラシーの利用の仕方に関しては、データの収集の成果を得た。現地では、開発実践をテーマとする研究会において、識字教室に集う女性たちの日常生活実践に関して発表をおこない、ネパール人研究者らからもフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での研究活動に加え、現地農村に住み込んでの臨地調査についても時間を重ねてきており、農村部のタマン人をめぐる現代的動態について分厚い民族誌的記述を行うための基盤を築きつつあるため
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、引き続きフィールド調査を進めるとともに、これまでの研究内容に関して「アウトプットの一年」を目指して研究活動をすすめる予定である。口頭発表や論文の発表を重ねる中で得られる見地から、農村地域での日常生活実践と、より大きな規模で動く社会動態とを包括的にとらえる厚い記述をおこなう研究をめざす。
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Research Products
(2 results)