2013 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAサイレンシング複合体による新規mRNA分解機構の解析
Project/Area Number |
13J02601
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 支保 東北大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | miRNA / ポリ(A)鎖 / デキャッピング / mRNA分解 / 翻訳抑制 |
Research Abstract |
小分子RNAであるmiRNAによる発現抑制機構において、その発現抑制機構の本体であるTNRC6によるmRNA分解促進機構と翻訳抑制機構の詳細な分子機構は依然として不明である。本研究ではTNRC6による翻訳とポリ(A)鎖短鎖化非依存的にmRNAを分解する新規分子機構の詳細を明らかにすることを目的とした。遺伝学的な解析が容易な出芽酵母を用いて、ゼブラフィッシュのTNRC6をレポーターmRNAに人工的に結合させる(テザリング)解析系を構築し、以下の実験を行った。 1)TNRC6と結合するデキャッピング活性化因子の同定 TNRC6はデキャッピング因子のうちDhh1と相互作用し、TNRC6はCCR4-NOT複合体(ポリ(A)鎖短鎖化複合体)を介してDhhlと結合することが示唆された。さらに、Dhh1はTNRC6によるmRNA分解促進のみではなく翻訳抑制に必須であり、既知のポリ(A)鎖の短鎖化に依存した経路とは独立にmRNA分解促進と翻訳抑制が引き起こされることが見出された。 2)TNRC6によるデキャッピング反応促進の観察 TNRC6によってデキャッピング反応が促進されているかを調べるため、試験管内で実験を行った。TNRC6のテザリングによりデキャッピングされたレポーターmRNAのデキャッピングが促進されるか否かを観察した。その結果、TNRC6は翻訳とポリ(A)鎖に依存せずにデキャッピング反応を促進し、mRNA分解を促すことが初めて見出された。 以上の研究成果を第一著者としてNucleic Acid Researchに投稿を行った。また、CCR4-NOT複合体に関する総説をFrontiers in Geneticsに共著者として投稿し、受理された。さらに、国内学会で6回、海外の学会で1回、研究成果を発表した。(13.研究発表参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
代表的な低分子RNAであるmiRNAによるサイレンシング機構について、出芽酵母を用いた解析系を構築した。TNRC6によるmRNA分解促進と翻訳抑制機構において、CCR4-NOT複合体がデキャッピング複合体をリクルートすることが必須であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までTNRC6によるmRNA分解促進機構について主に解析を行ってきた。デキャッピング促進因子Dhh1がTNRC6と相互作用しmRNA分解と翻訳抑制に必要であることは明らかとなったが、翻訳抑制機構における役割については未だ不明である。今後は、miRNAサイレンシング機構におけるDhh1の翻訳抑制の分子機構について解析を行う。
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Research Products
(9 results)