2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02605
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 麻理奈 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | テラヘルツ分光 / 高分子 / 架橋 / 酸化 / 共鳴振動 / 誘電緩和 |
Research Abstract |
種々の高分子について、構造変化とTHzスペクトルの関係を解析し、THz分光を用いた高分子の構造評価手法を探ると共に、スペクトル解析で得た知見を基盤として、THz波照射による高次構造の制御に向けた基礎的な検討を行った。 まず材料の構造変化がTHzスペクトルに与える影響を明らかにするために、シラン架橋ポリエチレンと過酸化物架橋したポリエチレンに対し、架橋方法と架橋度がTHzスペクトルにどのように反映されるか検討した。THZスペクトルとゲル分率測定により求めた架橋度を比較し、架橋度の増大と共にピークの高さが上昇する吸収を確認した。更に、ピーク高さの架橋度依存性より、THz分光を用いて、簡便で非破壊的に架橋度を推定できる可能性を示した。また酸化したポリエチレンでも、酸化により吸収ピークが現れることを確認した。THz領域では、電波領域で見られる双極子の配向と光学領域で見られる分子の共鳴振動の2つの現象が存在することを考慮し、共鳴振動を表すとされるローレンツ、誘電緩和を表すとされるデバイ、コール・コール式によりフィッティング関数の検討を行うと共に、量子化学計算により振動吸収のシミュレーションを行った。その結果、酸化したポリエチレンのTHzスペクトルでは、カルボニル基の付与により骨格振動が現れることを明らかにした。 次に、THz光照射による高分子の高次構造の制御に向けた材料の選定と、THz光照射により制御可能な分子間結合を明らかにするための帰属の検討を行った。固体、溶液状態の変化が容易なデオキシリボ核酸を対象にTHzスペクトルの解析を行い、1本鎖のデオキシリボ核酸と2重鎖構造を持つデオキシリボ核酸のTHzスペクトルを取得し比較した結果、1本鎖と2重鎖構造の違いがTHzスペクトルに反映される可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子のTHzスペクトルについて、THz分光以外の種々の機器分析結果との比較を行い、THzスペクトルと高分子の構造変化の関係を解析するとともに、スペクトルの解析手法も検討した。また、THz光照射による高分子の高次構造制御を行うべく、スペクトルの解析と材料の選定を行った。成果は国内外の会議で発表しており、査読付き論文も投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究内容を一層深めつつ、当初の計画に則って研究を推進する。不年度に引さ続さポリエチレンなどの構造の単純な高分子に対し、さまざまな条件で誘起させた高分子の構造変化がTHzスペクトルに与える影響を検討し、THz分光法を用いた各種特性の定量化を目指す。またTHz光照射に伴うスペクトルの経時変化を観測し、THz光照射の影響を受けるピークの帰属を検討すると共に、実際に照射実験による高分子の構造変化の誘起を試みる。
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Research Products
(10 results)