2014 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物におけるSeebeck係数の多自由度効果
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13J02630
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 英史 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強相関電子 / ゼーベック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、ゼーベック係数に対する強相関電子系の多自由度効果について研究しています。強相関電子系では、局在的な電子が持つスピンや軌道の自由度による高いエントロピー効果のため、熱電変換効率の飛躍的な増大が期待されます。しかし、この効果は、系の状態をほとんど変えず独立にスピン・軌道自由度を変化させることが実験的に困難なため、これまで実証されていません。そこで、スピン・軌道自由度がゼーベック係数に与える効果を証明するため、Sr3.1Y0.9Co4O10+δを用い実験を行いました。この物質は、Co3+のスピン状態が1 GPa以下の比較的低い圧力を加えることで、High-spin状態からLow-spin状態へ変化することが知られており、この変化は、スピン・軌道エントロピーの変化も伴うため、ゼーベック係数に対する自由度の効果を検証することができます。 本研究では具体的に、圧力下での磁化、電気抵抗、ゼーベック係数の及びホール効果の測定装置開発及び測定を行い、物理解明を目指しました。実験は電気抵抗とゼーベック係数の圧力下同時測定に成功し、磁化の圧力効果との比較を行い、ゼーベック係数に対する多自由度効果について検証しました。その結果、圧力を加えるとゼーベック係数が増加するにもかかわらず、電気抵抗が減少するという、一般的な描像では理解できない振る舞いを観測しました。さらに、ゼーベック係数の増加が飽和磁化の減少に比例することを見出しました。これは、CoのSpin状態が圧力を加えることで変化し、それに伴う自由度の変化に起因してゼーベック係数が増大するという理論的モデルで説明できます。以上のことから、ゼーベック係数と電子の持つスピン軌道自由度が密接に関係していることが明らかになり、スピン軌道自由度を用いた熱電材料設計の有効性が直接的に証明されました。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)