2013 Fiscal Year Annual Research Report
情報精度が多様な個人からなるコミッティの決定の効率性に関するゲーム理論的研究
Project/Area Number |
13J02686
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永岡 成人 神戸大学, 経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コンドルセの陪審定理 / 戦略的投票行動 |
Research Abstract |
(1)単調性定理の証明 : 事前の予備的分析によって、少人数の場合には人数が増加しても決定の効率性は悪化する場合があることをすでに確認した。平成25年度の研究では、一般的な設定(コミッティのサイズが任意の2n+1人であり、個人の情報精度が任意の分布に従う連続確率変数の実現値)のもとで、人数が十分大きいときには、人数が増加すると決定の効率性は必ず改善することを証明した。 これらの研究成果をまとめて、平成25年度日本経済学会春季大会(富山大学)で発表した。そのときに討論者から得たコメントを取り入れな研窮成果を英語論文にまとめ、査読付き国際学術雑誌(Social Choice and Welfare)に投稿した(2014年4月現在、査読中)。 (2)非同質的投票者の極限定理の研究 : コミッティを構成する各個人の情報精度の事前分布に異なる2種類の分布のグループが混在する場合について、一方のグループのサイズが極端に小さい場合には、均衡での投票行動は人数が十分大きくなるとinformative votingに近づいていくが、2つのグループのサイズが同程度である場合にはそうならない、ということを特定の分布の場合について証明した。 (3)逐次投票と決定の効率性 : 各個人が投票先に加えて、投票するタイミングも選択できる内生手番逐次投票について、特定の極端なシグナルを受け取っている個人たちが、そのシグナルが支持する選択肢の方に投票していくということを繰り返すというアルゴリズムを用いることで、効率的な決定を達成する均衡が存在することが先行研究によって示されている。それに対して、投票可能な期間が十分長い場合には、効率的な決定を達成するための別のアルゴリズムが存在することを、例によって示した。 この研究成果を論文にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の1年目に予定していた、情報精度の事前分布が対称である場合については、単調性定理を一般的に証明することができ、その成果を論文にまとめて査読付き国際学術雑誌に投稿し、現在査読中である。 さらに、研究計画の2年目に予定していた、情報精度の事前分布が非対称である場合について、簡単な例を分析することを通じて、一般的な分析を行う手法と結果に関する見通しを立てることができた。 従って、当初の予定通り研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
情報精度の事前分布が非対称である場合の極限定理の研究について、平成25年度の研究で予備的成果を得た。その成果によると、コミッティのサイズが大きくなったとしても、分布が異なるグループの混在の仕方によってはinfbrmatlve vohng以外の投票行動が均衡となることがある。予備的考察では、特定の分布を想定してこの結果を導いたが、平成26年度の研究では、一般の分布のもとで同様の結果が成り立つかどうかを考察する。 ベイズ均衡の均衡条件に中心極限定理を応用して、コミッティのサイズが十分大きい場合の非同質的投票者の投票行動を近似的に研究することで、それが可能であると予想している。
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Research Products
(2 results)