2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02687
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門脇 和丈 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組化 / 磁気リコネクション / プラズマ合体 / スキャニング干渉計 / 音響光学素子 / スフェロマック / 球状トカマク / Sweet-Parkerモデル |
Research Abstract |
本年度は、プラズマ合体における自己組織化を東京大学TS-4装置において実験的に研究するための複数の新しい計測器を新規に設置して、それらの運用を開始し、実験結果を得た。①既存の2次元磁気プローブアレイの間隙に高分解能のアレイ(計108点、既存のアレイを含めた最高分解能2.5cm)を挿入した。108点のプローブの波形データのデジタル化のためのシステムも新規に構築し、運用を開始した。②リコネクション領域に高分解能の1次元静電プローブアレイおよび、2成分1次元マッハプローブアレイを新規に設置し、運用を開始した。③本年度購入した音響偏向素子(AOD)を用いてレーザを空間的に走査する、高速スキャン型CO2レーザ干渉計を世界で初めて設置した。AODを用いる方式では数100kHzでレーザを走査できるため、スキャン周波数を現象よりも十分に早くできる。新方式により、赤外線検出器や光学素子を大幅に省略しつつ、計測点数を増加できる。これらの計測装置を用いて、リコネクション領域における詳細な磁場、密度場、速度場構造を取得することに成功した。その結果、プラズマ合体における磁気リコネクションは、定常・密度一定の古典理論モデルであるSweet-Parkerモデルとは異なり、インフロー、電流シート内、アウトフローへと密度が増加してゆく構造をもつことが確認された。この密度勾配はアウトフロー側の圧力を高めて、リコネクションの粒子排出を抑制する働きがあり、プラズマ合体においてアウトフローの速度が定常モデルの理論値であるAlfven速度には到達しないことを説明できる。また、この密度勾配は、同時に観測されているアウトフローの温度分布と組み合わせることで、リコネクションによりインフロー側の磁気エネルギーが、下流で熱エネルギーに変換されていることを示すものである。さらにリコネクションの速度変化とともに密度分布も時間変化する現象、電流シートが装置軸方向に大きく移動する現象を新しく発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の予定であった、計測装置の開発が概ね終了し、プローブアレイなどの一部の計測に関しては、実験を行い、満足できる初期結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で新規に運用を開始した計測器を用いて、2年目は本格的なプラズマ合体実験を行う。押し付け力、プラズマサイズ、衝突度を変化させた場合において、プラズマ合体により生成されたプラズマのもつ磁気・フロー・熱エネルギーを計測し、どのような自己組織化状態にあるのかを同定することである。プラズマ合体前後におけるエネルギーの収支を定量化することで、理論から予測される最終状態と合致するか検証する。
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Research Products
(3 results)