2013 Fiscal Year Annual Research Report
3次元外部領域における定常Navier-Stokes方程式の解の一意性について
Project/Area Number |
13J02702
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中塚 智之 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / 外部領域 / 一意性 |
Research Abstract |
今年度は外部領域におけるNavier-Stokes方程式の解の一意性についての研究を行って2つの成果を得、それぞれを論文としてまとめて学術雑誌に投稿した。 1つめの成果は空間3次元における時間周期解に代表されるような非定常解の一意性であり、信州大学の谷内氏とダルムシュタット工科大学のFarwig氏らとの共同研究によるものである。空間無限遠で最良減衰度1/|x|を有する2つの解が与えられたとき、1つの解だけが小さく他方の解が若干の正則性を持てば、双方が一致することを示した。定常解については既に研究代表者によってほとんど同様の一意性定理が示されているが、非定常解の一意性についての先行研究では追加的な正則性の仮定が2つの解に対し課されていたので、今年度得られた結果は定常問題についての結果を一般化し、かつ非定常問題の先行研究を改良したものとなっている。 2つめの成果は空間2次元における定常解の一意性であり、Dirichlet積分有限なエネルギークラスの解が2つ与えられたとき、それらが共に弱い対称性を持ち、1つの解がエネルギー不等式を満たして他方の解が1/|x|程度で減衰する小さな解ならば、双方は一致することを示した。減衰する解はこれまでのところ対称性のもとでしか得られていないが、この結果においては解の減衰は保証するが可解性に関する先行研究で課されているよりも弱い対称性のもとで一意性を示すことが出来た。2次元定常外部問題では強い対称性を持つような与えられた2つの解が共に小さい場合の一意性しか先行研究では得られておらず、この成果によって一つの解のみが小さい場合の一意性定理が初めて示された。この結果の証明は3次元の場合にも有効であり、3次元定常外部問題について先行研究で得られている一意性定理の別証明を与えることもできる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究成果である空間3次元における時間周期解に代表されるような非定常解の一意性は本研究課題の重要な発展課題であり、これを明らかにしたことは重要な成果である。また、空間2次元における定常解の一意性は3次元の場合に比べて難しい問題であり、これを明らかに出来たこともまた重要な成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の解決方策として、Navier-Stokes方程式の与えられた2つの解の差が満たしている方程式に対応した双対方程式の解析にこれまで重点を置いてきたが、今後は別の方策にも力点を置く。具体的には、今年度の研究成果である非定常解の一意性の証明において用いた、与えられた解め1つが小さいならば他方の解もまた適当な意味で小さくなるという議論によって問題の解決を目指す。時間周期解など定常解よりも広いクラスの解に対しこのような主張が言えているので、特別な解と言える定常解に対してはより弱い仮定のもとで主張が成り立つと期待できる。解が小さい場合には方程式に与えられた外力も小さく、小さな外力に対応した解は適当な意味で小さくなることを示すのが自然な議論であると思われる。
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Research Products
(1 results)