2013 Fiscal Year Annual Research Report
土壌共生菌がつくりだす森林の多様性:移入操作実験と最先端分子同定技術の融合
Project/Area Number |
13J02732
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
門脇 浩明 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物-土壌微生物フィードバック / 森林遷移 / 外生菌根 / AM菌根 / メタゲノム解析 |
Research Abstract |
菌根菌が植物群集に与える成長促進効果の有無を検証することを目的に実験計画を遂行した。はじめに、京都大学理学部植物園において、1.2メートル四方のメソコズムを36基設置した。そこに、あらかじめ根において菌根菌を保有している苗木384本を移植した。苗木の樹種に応じて根に保有する菌根菌のタイプ(AM菌根と外生菌根)は異なるので、AM菌根を保有するメソコズム、外生菌根を保有するメソコズム、そして苗木を移植しないメソコズムの3つのタイプのメソコズムを12基ずつ確立した。6カ月後、そこに未だ根に菌根菌を保有していない実生を移植した。それらの実生は、本来、AM菌根を形成する樹種、ならびに、外生菌根を形成する樹種を形成する種を含み、苗木の菌根タイプと実生の菌根タイプが合致する組み合わせ(たとえば、外生菌根をもつ苗木と外生菌根タイプの実生)と合致しない組み合わせ(たとえば、外生菌根をもつ苗木とAM菌根タイプの実生)で栽培することで、苗木と実生の菌根タイプが合致する場合に、実生の成長率が最も高くなるという仮説の検証を行っている。今後、これらの実生を根から掘り起こして収穫し、根に保有する菌根菌の種類をDNA配列を解読する。そのDNA解析技術(メタゲノム解析)のプロトコルを確立するため、京都近郊の山地において根や土壌サンプルを採集し、試験的に解析をおこない、その結果を学術論文として公表した。並行して、そうした微生物群集データの解析について議論を行うため、フランスのモンペリエ第二大学において5か月間の在外研究を行った。フランスでは、植物園で進めている野外実験データを活用し、植物と菌類の相互作用を定量化する手法などについて理論的な考察を行い、来年度以降の実験解析の基盤となるデータ解析手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
その理由は、野外実験に用いる苗木と実生の育成がおおむね順調に進んだことと、発芽しなかった実生の樹種については他の樹種に代替することで、実験デザインを微修正することで当初の計画をほぼ確実に遂行できたことが理由である。今後の実験計画と核となるメタゲノム解析を試験的に行い、成功したことも重要な進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を推進するにあたり、当の計画より変更が必要となる点は特にない。計画通り、苗木と実生を収穫し、それぞれの根が保有する菌根菌の種類を同定する。苗木の実生の菌根菌の合致・非合致に組み合わせに応じて、実生の成長率が変化することを統計解析によって示す。
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Research Products
(6 results)