2013 Fiscal Year Annual Research Report
純スピン流注入書き込み技術の低消費電力化と次世代スピンデバイスへの応用
Project/Area Number |
13J02733
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖 宗一郎 九州大学, 大学院システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 純スピン流 / ホイスラー合金 / 磁化反転 |
Research Abstract |
本研究は次世代の超低消費電力デバイスとして期待されるスピントロニクスデバイスにおける情報の書き込み技術である強磁性体の磁化反転技術として、メモリ部に電流を流さない「純スピン流注入磁化反転技術の室温実証」を目的とする。これまで、純スピン流による磁化反転手法は純スピン流を生成する強磁性体のスピン生成効率が低いことから100K以下の極低温領域でのみの報告に留まっていた。本研究では、スピン生成効率が最も高い「ハーフメタル特性」を有すると期待されているホイスラー合金Co_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>を純スピン流生成源とすることで、室温において巨大純スピン流を生成・注入することで室温磁化反転を目指す。 本年度は、その実現のためにハーフメタル特性が期待されているCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>を高品質作製に注力した。これまでに分子線エピタキシー法と化学量論組成比により、薄膜構成元素を組成比通りに基板へと同時蒸着することでCo_2FeSiの高品質成膜を作製する技術を開発してきた。しかしながらこの手法をCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>に用いた場合、をCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>/Si界面に界面反応層を形成し、基板Siの取り込みによりCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>膜の組成ズレを引き起こし、膜質が劣化することが判明していた。そこで、基板Siの取り込みを考慮した非化学量論組成比による成膜条件を詳細に検討した。Co、Fe、Si、Alそれぞれの組成を厳密に制御することにより、基板Siの取り込みを抑え、かつ膜中のCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>の組成を組成比通りにし、高い膜質を得ることに成功した。これらの成果は米国一流雑誌に投稿中である。次年度は、今年度の結果で得られた知見を基に、室温純スピン流注入磁化反転技術の実証を目指して、精力的に研究を遂行していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では反応を防ぐバッファ層としてCo_2FeSi層を挿入する予定であったが、分子線エピタキシー法を用いた非化学量論組成比によるCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>薄膜の作製を検討し、Co_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>のみの薄膜をSi基板上に形成することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したをCo_2FeSi_<0.5>Al_<0.5>薄膜を用いて磁化反転層埋込み型の素子を作製し、純スピン流注入磁化反転による強磁性体の磁化の変化の観察を行う。磁化反転層の形状を多様に変化させ、純スピン流注入磁化反転の磁化反転層形状依存性を検討し、高効率に磁化反転を行える形状の探索を行う。
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Research Products
(7 results)