2014 Fiscal Year Annual Research Report
純スピン流注入書き込み技術の低消費電力化と次世代スピンデバイスへの応用
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13J02733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
沖 宗一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピン流 / ホイスラー合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高いスピン生成効率が期待されるホイスラー合金Co2FeSiを純スピン流生成源とする巨大純スピン流生成により、純スピン流注入磁化反転技術の室温実証を目指す。本年度は素子構造の観点から以下の2点により高効率に巨大スピン流を生成することに注力した。 1つ目は強磁性Co2FeSi電極の多端子化によるジュール発熱抑制の検証である。多端子化により純スピン流生成量は同じ印加電流に対し、明らかに大きくなることを確認した。またCo2FeSiスピン流生成効率の発熱による減衰は従来報告されている多端子化素子より小さく、大電流印加時にも比較的高効率に純スピン流を生成できることを確認した。 2つ目は室温における純スピン流の拡散長領域以下への素子構造の微細化である。従来の600nm程度の試料においては非磁性体内での純スピン流の減衰が大きく、磁化反転対象に十分な純スピン流が注入されないことが室温実証への課題となっていた。本年度では電子線描画における詳細なプロセス検討により、生成・注入領域をスピン拡散長以下の300nm程度まで微細化し、室温純スピン流注入磁化反転の基礎となる素子構造作製技術を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はホイスラー合金Co2FeSiのジュール熱によるスピン流生成効率の減衰は1端子の場合でも、従来材料の多端子化素子の減衰より小さく、大電流印加時にも高効率に純スピン流を生成できることを確認した。また、室温純スピン流注入磁化反転に向け、スピン拡散長以下の300nm程度まで微細化し、室温純スピン流注入磁化反転の基礎となる素子構造作製技術を完成させた。これらによって最終年度、室温純スピン流注入磁化反転実証の目処が立ったため、達成度を(2)とさせていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は今年度までの結果で得られた知見を基に、室温純スピン流注入磁化反転の実証を目指して、素子作製・測定等の実験を精力的に進めていく予定である。
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Research Products
(8 results)