2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J02764
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴田 健二 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 樹液流 / 蒸発散 / 辺材面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,試験流域における樹液流速の空間分布を正確に把握するため,合計3プロットにおいて樹液流計測を行った.斜面の尾根部と谷部,平坦な地形上の3プロットである.通年の樹液流計測の結果,3プロット間で樹液流速度に大きな差異は認められず,平均樹液流速度はほぼ同程度であった.一方で,木部通水部の辺材断面積はプロット間で大きなばらつきを取っており,辺材断面積が蒸散量のばらつきを説明する要因であることが分かった.この情報は流域スケールの蒸散量推定において重要な情報である.これを基に,今後は流域内の樹木サイズデータを用いて流域スケールの蒸散量へと拡張する予定である. また,土壌・植生・大気間の伝達モデルを用いて蒸発散量をモデル化し,数年単位の蒸発散量変動の要因について調べた.詳細な現地観測に基づき,蒸散および遮断蒸発にかかわる主要なモデルパラメーターの値を決定した.実測の蒸発散量データと比較検証し,パラメタリゼーションの妥当性を確かめた.その結果,蒸発散量は年々で安定した値をとっていたにもかかわらず,蒸散や遮断蒸発などの構成要素は気象の影響を受けて大きな変動をとっていた.この結果は,気象が潜在的に水循環に影響を及ぼしうることを示しており,より長期の数十年スケールの蒸発散量を予測する上で重要な情報である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画としていた樹液流速度の流域内空間分布のデータを問題なく取得できたことに加え,蒸発散モデルの構築とその検証も達成することができた.よって,本研究課題は研究計画通り順調に進展しているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに得られた現地観測データの取りまとめを行う.樹液流データを流域スケールに拡張したうえで,林分収穫表データを用い人工林管理が蒸発散量・水資源量に及ぼす影響を評価する.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] A model relating transpiration for Japanese cedar and cypress plantations with stand structure.2014
Author(s)
Komatsu H, Shinohara Y, Kumagai T, Kume T, Tsuruta K, Xiang Y, Ichihashi R, Tateishi M, Shimizu T, Miyazawa Y, Nogata M, Laplace S, Han T, Chiu CW, Ogura A, Saito T, Otsuki K.
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Journal Title
Forest Ecology and Management
Volume: 334
Pages: 301-312
DOI
Peer Reviewed
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