2014 Fiscal Year Annual Research Report
特殊な低次元構造を持つ遷移金属化合物の多体電子状態の理論
Project/Area Number |
13J02767
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鳥山 達矢 千葉大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 遷移金属化合物 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ホランダイト型構造やカルシウムフェライト型構造といった複雑で、かつその内部構造に特殊な低次元構造を持つ遷移金属化合物の電子状態を明らかにするとともに、その異常物性の起源を解明していくことを目的としている。今年度は以下に示す物質を対象とし、研究を行った。 バナジウム酸化物V_6O_<13>が示す電荷・軌道秩序を伴う金属絶縁体転移 ワズレー相に属するバナジウム酸化物V_6O_<13>が示す金属絶縁体転移に関する理論的な研究を行った。高温での結晶構造と、金属絶縁体転移後の低温での結晶構造に対して第一原理バンド計算を行い、金属絶縁体転移の前後で電荷と軌道の整列が生じていること、そして整列後の電荷・軌道の空間的な配置を明らかにした。また、高温構造に対するバンド計算の結果から得られた低エネルギー有効模型を解析することで、この系が持つ1重トレリス構造内にバンド・ヤーン=テラー不安定性が隠れており、この不安定性により金属絶縁体転移が引き起こされうることを示した。 カルシウムフェライト型クロミウム酸化物NaCr_2O_4に生じる軌道3量体 カルシウムフェライト型の構造を持つ混合原子価クロミウム酸化物NaCr_2O_4の磁性と伝導性に関する研究を行った。この系に対してバンド計算を行い、この系の基本的な電子構造はCrO_6八面体がつくる完全にスピン分極した強磁性のルチル2本鎖からなっていること、NaCr_2O_4の基底状態は反強磁性を示し、その反強磁性は強磁性のルチル2本鎖がスピンの向きを反対にして交互に並ぶことによって生じていることを明らかにした。また、ルチル2本鎖内で3個の、それぞれ異なる軌道を持つクロミウムイオンが、格子歪みを伴うことなく3量体を形成することにより絶縁体となっていることを示した。
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Research Progress Status |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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Research Products
(9 results)