2013 Fiscal Year Annual Research Report
低消費電力LSI実現へ向けた高位・物理統合設計技術の開発
Project/Area Number |
13J02774
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阿部 晋矢 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 低消費電力設計 / 高位合成 / マルチクロックドメイン / 複数電源電圧 |
Research Abstract |
LSIの性能向上, 利用範囲の拡大に伴い, LSIの低消費電力化が求められる. LSIの設計生産性を向上する「高位合成」では, LSI全体の消費エネルギーの多くを決定する「物理合成」を切り離して考えており低消費電力化のボトルネックとなっている. 「物理設計」で構成が決まり全の30%以上の電力を占めるクロック信号に注目した, 高位・物理統合化LSl合成技術の提案により, 消費エネルギーを従来よりも60%削減することを目的とする. 本年度は前述した高位・物理統合化LSl合成技術の提案へ向け, 高位・物理統合化LSI合成技術を実現する上で必要な回路情報を収集した. その上でクロック信号のエネルギーを削減する手法としてマルチクロックドメインに注目した. 従来マルチクロックドメイン技術はLSI自動設計の下位工程にあたるレイアウト合成やクロック信号合成の際に適用される技術である. マルチクロックドメインを高位段階で必要十分に考慮可能な, クロック信号および回路部品の抽象モデルである集積回路アーキテクチャを提案した. 集積回路アーキテクチャの提案により, 消費エネルギーの考慮に加えてクロック信号の同期問題についても高位段階で考慮可能となった. 提案集積回路アーキテクチャを対象とした合成アルゴリズムについても提案し, マルチクロックドメインのみで約30%のエネルギー削減を達成した. 加えて, マルチクロックドメインと複数電源電圧を同時適用した高位・物理統合化低消費電力LSI合成技術は来年度の完成へ向けた仮提案を実施した. 集積回路アーキテクチャ, および合成アルゴリズムの素案を提案し, マルチクロックドメインと複数電源電圧を同時に適用することで現在約50%のエネルギー削減を実現できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来年度へ向けて集積回路アーキテクチャ, および合成アルゴリズムの素案を提案し, 目標とする消費エネルギーの削減比率も素案の改良で十分達成ができると考えるため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り, 現在の素案を改良し目標とする消費エネルギー削減率を目指す. 平成25年度の研究成果より, 削減効果は合成対象とする回路の機能によってばらつきがあることが分かった. 実験結果について学会で発表し, (1)クロック割り当ての抽象化と電圧割り当ての抽象化について, (2)合成アルゴリズム中のクロック信号割り当てと電圧割り当てについて, 意見を頂くことができた. (1)については抽象モデル化への反映を実施した. (2)については合成アルゴリズムへの反映を予定している.
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Research Products
(4 results)