2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機電荷移動錯体に基づく有機トランジスタおよび新規有機電荷移動錯体の開発と物性
Project/Area Number |
13J02780
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
角屋 智史 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機トランジスタ / 有機伝導体 / 化学ドーピング |
Research Abstract |
当研究室が開発した化学ドープを用いたセルフコンタクト有機トランジスタは、金属電極を使用せずに従来のトランジスタと同等の性能が期待できるため、低コストで環境にも優しい技術として重要であると考えられる。しかし、この方法は同一の有機分子が良好なトランジスタ特性を示し、かつ高伝導な電荷移動錯体を形成しなければならないという制約がある。そのような背景の中、今年度は有機トランジスタ材料として有望なベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)の骨格を用いた新規な電荷移動錯体(BTBT)_2PF_6を開発することに成功し、その物性評価を行った。この錯体は室温においておよそ1500S/cmという高い伝導度を示すので、有機トランジスタなどの電極材料の候補として考えられる。これまでBTBTを用いた電荷移動錯体の例はなく、代表的な電子ドナー分子であるテトラチアフルバレンなどに比べて、非常に弱い電子ドナーであるにもかかわらず高伝導な錯体を形成する点が特徴である。また、セルフコンタクト有機トランジスタの実用的な意義を高めるため、印刷法を用いたデバイス作成法の基礎技術を確立した。ヘキサメチレンテトラチアフルバレンを活性層に用いたトランジスタでは、溶液法で作成した有機電荷移動錯体電極においても、真空蒸着法で作成した金電極のデバイスと同等の性能を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機トランジスタ材料に用いられる分子を用いて、室温において高伝導な電荷移動錯体を開発できた。また印刷法を用いたセルフコンタクト基礎技術を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
半導体分子に基づく新規電荷移動錯体とBTBT系を用いたセルフコンタクト有機トランジスタの開発を進める。
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Research Products
(10 results)