2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロイコトリエンB4受容体BLT1が規定する新規樹状細胞サブセットの機能解析
Project/Area Number |
13J02797
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
市木 貴子 順天堂大学, 医学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生理活性脂質 / GPCR / 樹状細胞 / BLT1 |
Research Abstract |
本研究では、ロイコトリエンB_4受容体BLT1の発現量の違いにより規定される新規樹状細胞サブセット(BLT1^<hi>、BLT1^<lo>)の免疫応答における役割を明らかにすることを目的とし、BLT1の発現量で区別される樹状細胞サブセットの病態生理学的意義の解明(研究I)と、それぞれの細胞集団におけるBLT1の発現制御機構の解明(研究II)を行っている。 研究Iにおいて、両サブセットを種々のPAMPsで刺激した際のサイトカイン産生を調べたところ、BLT1^<lo>樹状細胞と比べて、BLT1^<hi>樹状細胞のTh1およびTh2分化促進能が高いことが明らかとなった。さらに、DNAマイクロアレイを用いて、Th1分化を誘導することが知られているIL-12a (IL-12p35), IL-1f6 (IL-36α), IL-1f9 (IL-36γ)といった遺伝子やTh2分化を誘導する事が知られているIL-10遺伝子がBLT1^<hi>樹状細胞に高く発現していることがわかった。また、BLT1^<hi>と比べて、BLT1^<lo>樹状細胞ではIL-2の分泌能が高いことが明らかとなった。IL-2は、T細胞が分化・増殖を始めるのに重要な因子である事が知られているため、両サブセットを用いてT細胞増殖に対する影響を調べた。その結果、BLT1^<lo>樹状細胞はBLT1^<hi>樹状細胞に比べて、2倍程度のT細胞増殖誘導能を持つ事がわかった。 研究IIにおいて、BLT1^<hi>とBLT1^<lo>樹状細胞におけるBLT1 mRNAの転写開始点を5'-RACE法を用いて調べたところ、両者に転写開始点の違いは認められなかった。両サブセットにおいてBLT1の発現量が成熟度依存的に変動するか否か検討したところ、ペプチドグリカンを処理した時にのみ、BLT1^<hi>樹状細胞におけるBLT1の発現量が減少する事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生理活性脂質受容体BLT1に対する抗体を用いて、BLT1の発現量の違いで区別される2つのサブセットであるBLT1^<hi>とBLT1^<lo>樹状細胞がT細胞を分化させる能力において大きく異なることを見出し、順調に解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Iにおいては、BLT1^<hi>とBLT1^<lo>樹状細胞における異なるサイトカイン産生能の分子メカニズムの解明と、両サブセットのin vivoにおける機能解析を接触性皮膚炎等のモデルを用いて解析して行きたい。研究IIにおいてはペプチドグリカンを処理した時にのみ、BLT1^<hi>樹状細胞におけるBLT1の発現量が減少する事がわかったことから、TLR2特異的なBLT1発現抑制機構が存在する事が示唆されるため、今後更なる検討を行いたい。
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Research Products
(5 results)